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トルシエ監督側近が明かすシドニー五輪「舞台裏」とパリ世代への期待「化け物に変身を」 <パリの主役は君たちだ!>

2024年3月20日 11:11
トルシエ監督側近が明かすシドニー五輪「舞台裏」とパリ世代への期待「化け物に変身を」 <パリの主役は君たちだ!>
サッカー日本代表フィリップ・トルシエ元監督の通訳だったフローラン・ダバディさん
4、5月にパリ五輪アジア最終予選を控え、サッカーU-23日本代表は22日に京都でマリとの強化試合に臨みます。

2000年シドニー五輪でフィリップ・トルシエ監督の通訳として、32年ぶりの決勝トーナメント進出に貢献したフローラン・ダバディさんに、監督と選手の裏話やオリンピック特有の難しさ、パリ五輪世代への期待を伺いました。

■背水の陣だったシドニー五輪「突破しなければこれで終わり」

1998年のフランスW杯で初出場を果たし、2002年には母国開催の日韓W杯が控えていた日本代表。否が応でも期待が高まるなかで就任したのがフィリップ・トルシエ監督でした。

A代表と五輪の兼任監督として、1999年にはFIFAワールドユース(現U-20W杯)で、FIFA主催の国際大会で史上初めて決勝に進出し準優勝を果たした一方、A代表では、コパ・アメリカで2敗1分の1次リーグ敗退。2000年4月には韓国に敗れるなど成績は上向きませんでした。

ダバディ「コパ・アメリカで惨敗し、いつトルシエ監督が解任されるのかもわからないくらい、危機感がありました。シドニー五輪ではグループリーグを突破しなければこれで終わり、負けられない戦いという気持ちで臨みました」

■強烈な個性の塊だった選手たちは監督との衝突も「トルシエ監督に向かってスパイクがとんだ」

シドニー五輪には、ブラジルのロナウジーニョ選手、スペインのシャビ選手、イタリアのピルロ選手、カメルーンのエトー選手ら各国のスターが数多く出場するなかで、日本代表も、中田英寿選手や中村俊輔選手らA代表経験者に、高原直泰選手ら「黄金世代」のメンバー、さらにオーバーエージで楢崎正剛選手・森岡隆三選手・三浦淳寛選手と、金メダル獲得も期待されるような選手がそろっていました。

ダバディ「このメンバーが日韓W杯でも中心となる予定でした。中田・中村・高原の縦関係が強烈で、このトリオは本当にマジックでした。ロンドン五輪(吉田麻也選手・酒井宏樹選手・宇佐美貴史選手ら)やリオデジャネイロ五輪(遠藤航選手・南野拓実選手・浅野拓磨選手ら)も個性のある選手たちがたくさんいたけど、シドニー五輪は、中田・森岡を筆頭に強烈な個性の塊でした。自分のやり方は絶対に曲げないし、メンタルだけは今よりも強かったと思います」

強烈な個性がそろうメンバーの中で、トルシエ監督が採用したのが、ディフェンダー3人の守備陣形“フラット3”。世界と対等に戦うためには、1人の選手が鍵だったといいます。

ダバディ「チームには“フラット3”のフィロソフィ(哲学)をとにかく指導しましたが、すべてはDF森岡隆三選手次第でした。トルシエ監督と森岡選手は大会期間中もずっと衝突していました。とことん戦術に納得できないと不安にもなりますし、ピリピリして、イライラもして、監督に向かってスパイクがとんだこともありました(笑) ただ、これは不健康なことではなく、向き合い続けたことによって、トルシエ監督は森岡選手に任せられると感じていました。今の世代の選手たちにも、監督にそこまで言える選手がいるのか知りたいですね。嵐の前の静けさはよくないです。どんどん暴れた方がいいです」

■勝つ確信があった準々決勝アメリカ戦「トルシエ監督との4年間で一番悔しかった」

背水の陣で臨んだシドニー五輪でしたが、日本代表はブラジルに続くグループ2位で32年ぶりに決勝トーナメント進出を果たします。

準々決勝の相手がアメリカに決まり、ベスト4に勝ち上がれる確信があったとダバディさんは振り返ります。

ダバディ「絶対にアメリカには勝つと、確信のようなものがありました。ドノバンという天才はいましたが、2番手3番手といえる選手があまりおらず、日本には強烈なトリオに、楢崎正剛や稲本潤一もいて、アメリカよりチームの格は上だと、グループリーグと同じ戦いをすれば勝てると感じていました」

試合は、柳沢敦選手、高原直泰選手のゴールで2度リードを奪いますが、後半45分にPKで同点に追いつかれると、最後はPK戦で敗戦。準決勝進出、そしてメダル獲得はなりませんでした。

ダバディ「試合内容では勝てていました。後半終了間際のPKを与えるシーンは、日本ベンチから近かったので、今でもスローモーションで見えるくらいの悪夢でした。あと一歩で、世界1位だったスペインと準決勝でメダルをかけて戦えるはずだったので、トルシエ監督との4年間で一番悔しかったですね」

■五輪特有の難しさと期待「知らなかった選手が変身、変貌を遂げて化け物に育つ」

シドニー五輪では32年ぶりのベスト8、日韓W杯では史上初のベスト16入りを成し遂げたトルシエジャパン。それを支えたダバディさんは、五輪には特有の難しさと想像を超える期待があると話します。

ダバディ「当時はVHSで分析していました。五輪の男子は23歳以下で、選手のデータも少ないのでW杯より戦いにくかったです。さらに、この年代は短い期間でも心技体が変わってきます。知らなかった選手が変身、変貌を遂げて化け物に育ちます(笑)」

4、5月にアジア最終予選を控え、パリ五輪まで4か月と迫る中で、若き日本代表から短期間で急激に成長、進化する選手は出てくるのでしょうか。22日のマリ戦でも、変身、変貌が期待されるパリ五輪スター候補の躍動に注目です。

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