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新体操日本代表を支える“マジック”の力

2021年7月9日 1:21
新体操日本代表を支える“マジック”の力

2019年9月の世界選手権、団体総合で44年ぶりの銀メダル、さらに団体種目別ボールで史上初の金メダルを獲得した、新体操日本代表・フェアリージャパン。東京五輪でも史上初の金メダル獲得を目指す彼女たち。メンタルトレーニングに“意外なもの”を取り入れていました。

フェアリージャパンのメンタルトレーナーを務めるのは志村祥瑚さん。精神科医として患者を診療する志村さんは、企業経営者らのメンタルコーチも務めており、2017年からフェアリージャパンも指導しています。

その志村さんがフェアリージャパンのメンタルトレーニングで取り入れているのは、なんと「マジック」。実は志村さんは精神科医でありながら現役のマジシャンとしても活躍しています。

志村さんはメンタルトレーニングにマジックを取り入れる理由を「マジックを見せることによって、人がいかに思い込みに左右される生き物なのかと納得してもらう」と話します。

例えばコインとペンを手に持ち、志村さんは見ている人の目の前に出したコインを軽くペンで叩きながら「今から1回2回3回叩くと“これ”が消えるっていうマジックをします」と宣言。見ている人は“これ”という言葉にだまされ、コインが消えると思い込んでいるところに、実際には志村さんはコインではなくペンを消すというマジックを披露します。

実はペンを耳に挟んで隠すだけの簡単なトリックなのですが、見ている人は“これ”という言葉でコインを消すと思い込んでいるため、ペンのことをまったく気にとめていません。

志村さんはこのようなマジックを披露することで「人は意識していないものには意外と気づかない」ということを体感させます。先ほどのマジックでは“意識している”コインの行方には注目できていますが、“意識していない”ペンの行方には意外と気づかないのです。

志村さんは「選手たちが『失敗したらどうしよう、メダル取れなかったらどうしよう』という不安を“意識する”と、目の前の『演技』のほうにうまく集中することができなくなる。“素晴らしい演技をする”ことに集中することでミスが減り、技の成功率が上がる」と語ります。

志村さんにコーチを依頼した日本代表の山崎浩子強化本部長は「フォーカスをどこに置くかとかそういうことなんですけど、目標をゴールにしちゃいけない。『新体操の良さを伝えたい』『みんなに(新体操を)もうちょっと広めたい』、そのためにオリンピックがありますということであれば、(五輪に出るという)目標自体も生きるし、ゴールで死なない」と意識をどこに置くかの重要性を話しました。

またフェアリージャパンの主将を務める杉本早裕吏選手は「私たちの演技でいろんな方を勇気づけたりとか、パワーを与えられるような演技ができたらいいなと思っています」と意気込みました。