涙のラストラン 今季引退のハードル金井
今シーズン限りでの引退を表明していた、東京五輪・陸上110mハードル代表で、元日本記録保持者の金井大旺選手(26・ミズノ)が9日、母校・法政大学の競技会に出場。13秒55の1着で最後のレースを締めくくり、スパイクを脱ぎました。
金井選手の名前が広く知れ渡ったのは、2018年。自身も“最も印象に残るレース”としてあげた、日本選手権でした。決勝で13秒36をマークし、当時の日本記録を14年ぶりに塗り替える快挙を達成。「あそこで自分が一気に殻を破ったという感覚があった。そこから始まったという感じ」と当時を振り返りました。
今年4月には、再び日本記録(当時)を更新。“最大の目標”としていた東京五輪では、日本勢として57年ぶりとなる準決勝進出を果たすなど、日本のハードル界を引っ張ってきました。
また、もう一つの夢である「歯科医の道」へ進むため、今シーズン限りでの引退を表明していた金井選手。この日は母校・法政大学で行われた競技会に出場。8年間走り続けてきた、思い出のグラウンドを最後の舞台に選びました。
母・道子さんも地元の北海道から駆けつけるなか、迎えた最後のレース。「本当に最後だな」というさみしさもあったそうですが、成長著しい後輩たちと走るレースに、緊張感を持って臨みました。
金井選手は、得意のスタートで飛び出すと、ともに汗を流してきた仲間たちと競り合いながらも、トップでフィニッシュ。13秒55(追い風0.1メートル)の1着で、現役最後のレースを締めくくり、スパイクを脱ぎました。
レース後のセレモニーでは、涙をこらえ、言葉を詰まらせながら、感謝の思いを口にした金井選手。「東京五輪が最終目標で、五輪に向けて、自分の限界を超えるようなトレーニングをしてきたし、悔いがないようにこの半年間ずっとやってきた。そういう課程があったからこそ、悔いなく終われたかなと思っている」と競技生活を振り返りました。
これから受験を経て、歯科医の道へと進む金井選手。「信頼される歯科医師になりたい」と新たな目標へ向かいます。