【全文】西武・松坂大輔 引退セレモニー
プロ野球・西武のファン感謝祭「LIONS THANKS FESTA 2021」が4日、本拠地・メットライフドームで開催され、松坂大輔投手の引退セレモニーが行われました。
現役最後のユニホーム姿を見ようと球場に訪れた約1万4000人のファンの前で、松坂投手は“23年間の感謝”と“後輩への助言”を語りました。
【以下、スピーチ全文】
まずはこのようなセレモニーを用意して頂いた球団関係者の皆様ありがとうございます。そしてメットライフドームまで足を運んでくださったファンの皆様、ありがとうございます。
僕は今シーズン、今日をもちまして23年間の現役生活から引退します。野球と一緒で物覚えが悪いので、紙を見ながら話してもいいですか。(会場から拍手)
2006年のポスティングでアメリカに行くときに、あの時もファン感謝デーだったと思うんですけど、選手会長だったということもあり、最後に挨拶する機会があったんですけど、やっぱりこの場に立つと忘れちゃうんですよね。なので同じ思いはしたくないので、しっかり自分で考えた文章を紙を見ながら話をさせて頂きたいと思います。
野球を始めた時から応援して頂いている方、ライオンズに入団した時から応援して頂いている方、ケガをしてから応援して頂いている方、たくさんの方に支えて頂きました。本当に長い間ありがとうございました。
僕の現役時代の原動力は、応援して頂いている方に喜んでいただきたいと思い、頑張ってきました。「One for All, All for One」という言葉がありますが、「One for All」、一人はみんなのために、僕はこの言葉を胸に投げ続けてきました。僕が投げてきたことで、少しでもファンの方が喜んでくれたり、勇気やパワーを贈ることができていたのなら、こんな姿になってもまだまだ投げ続けたいと思いながらやってきて、本当によかったと思います。
小さい頃から投げること、打つことが大好きで、引退を決める直前までもっと投げたい、もっとみんなで勝ちたいと思っていた僕ですが、最後は普通に投げられなくなるまで野球を続けてくることができて、本当に幸せでした。
プロ生活の後半は故障ばかりでしたけど、僕を生んでくれて、育ててくれた両親に感謝しています。小さい時から常に僕と比較され、苦しい時期を過ごしたこともあった弟にも感謝しています。若い時から引退する時まで、僕のわがままを許してくれた妻、子供たちにも感謝しています。妻のお母さん、天国で見守ってくれている妻のお父さんにも感謝しています。
ただここまで来るなかで、たくさんの方に、たくさんの不満や迷惑をかけてきたことも事実です。改めて申し訳ありませんでした。こんな僕に投げる場所を与えてくれたライオンズ、ホークス、ドラゴンズ、レッドソックス、インディアンス、メッツ、そしていつも僕の気持ちを奮い立たせてくれたファンの皆様、感謝しています。ありがとうございました。
そして、これからもプレーしていく選手の皆さんへ。誰でもいつか辞める日が来ます。選手の時間は無限ではありません。悔いの残らないように、日々を過ごしてください。引退試合の時にも言いましたが、トレーニング、体のメンテナンスには十分お金をかけてあげてください。それがいつか自分にいい結果として返ってくるはずです。もしそれが結果に結びつかなかったとしても、一生懸命に考え、実践したことは無駄にはなりません。
23年間やってきたなかでたくさんの嬉しい経験、悔しい経験をしてきましたが、いつでも悔しい経験の方が強く残っています。その悔しい経験をバネに、僕は挑戦してきました。そこは自分が自信を持って、誇れる部分だと思っています。今の結果に満足している選手は誰一人としていないと思いますが、その時その時の結果に満足することなく、嬉しい経験、悔しい経験をたくさん積み重ねて、信念を持って上を目指していってほしいと思います。その経験、思いをこれからの世代に紡いでいくことができれば、またライオンズの黄金時代がやってくるんじゃないかと思っています。これからは一人の野球ファンとして、埼玉西武ライオンズの明るい未来を楽しみにしています。
最後に改めて23年間、長い間支えていただき、前に進むために背中を押していただき、本当にありがとうございました。