【箱根駅伝】出雲、全日本2位の國學院大學 主将・中西大翔は双子の兄の思いも背負い箱根路へ
その選手は、双子の兄・中西唯翔(ゆいと)選手です。大学で明暗が分かれてしまった兄の思いを胸に、大翔選手は最後の箱根路へと挑みます。
■大学で明暗が分かれた"何をするにも一緒"な双子の兄弟
北陸・金沢で生まれた双子の中西兄弟。何をするにも一緒だったふたりは、中学で陸上を始めると、ライバルになりました。全国への切符をかけた大会では、飛び出した弟を兄が猛追。結果は同じタイムで、そろって全国の舞台に立ちました。
一緒に箱根駅伝を走りたい。その思いでそろって國學院大學へと進学します。
二人三脚での飛躍を誓いますが、1年生の時から兄弟で明暗が分かれます。先に頭角を現したのは、弟・大翔選手。1年生ながら箱根駅伝で4区を任されると、区間3位の好走を見せ、過去最高成績となる総合3位に貢献しました。
歓喜の中にいる弟を傍目で見ていたのは兄・唯翔選手。
弟の活躍に唯翔選手は「すごくかっこよかったし、いいなと思いました。来年以降は絶対走ってやるという気持ちで頑張っていきたい」と思いを口にしました。
しかし、その差は広がっていきます。弟・大翔選手はエースとして成長を遂げていく一方で、兄・唯翔選手はケガを重ね、思うような結果が得られず、3年生では箱根駅伝のエントリーメンバーに入ることすらできませんでした。
唯翔「落ち込むというよりは、絶望みたいな感じでした。大翔は順調にいけていて、羨ましいなって」
いつしか前を向くこともできなくなっていました。
■「もう一度前を」箱根での弟からのお願い
そんな兄に、大翔選手はあるお願いをします。
大翔「少しは明るくなってくれるのかなって」
もう一度、前を向いてほしい。少しでも、一緒に走ってほしい。そんな思いから、弟・大翔選手は兄・唯翔選手に給水係を任せました。
「いまの区間順位と、『一緒に走っているぞ』と伝えました」と振り返り、「一緒に出走したいという思いがあるので、あと1回しかチャンスはない。そこは達成させたいと思います」と箱根駅伝への思いを再び思い出した唯翔選手。