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【箱根駅伝】出雲、全日本2位の國學院大學 主将・中西大翔は双子の兄の思いも背負い箱根路へ

2022年12月28日 6:01
【箱根駅伝】出雲、全日本2位の國學院大學 主将・中西大翔は双子の兄の思いも背負い箱根路へ
初の総合優勝を目指す國學院大 双子の弟・中西大翔選手(右)と兄・中西唯翔選手(左)
2022年の出雲駅伝、全日本大学駅伝で、いずれも2位という好成績を残した國學院大學。チームの主将を務める中西大翔(たいが)選手には、一緒に箱根駅伝を走りたいと願った選手がいました。

その選手は、双子の兄・中西唯翔(ゆいと)選手です。大学で明暗が分かれてしまった兄の思いを胸に、大翔選手は最後の箱根路へと挑みます。

■大学で明暗が分かれた"何をするにも一緒"な双子の兄弟

北陸・金沢で生まれた双子の中西兄弟。何をするにも一緒だったふたりは、中学で陸上を始めると、ライバルになりました。全国への切符をかけた大会では、飛び出した弟を兄が猛追。結果は同じタイムで、そろって全国の舞台に立ちました。

一緒に箱根駅伝を走りたい。その思いでそろって國學院大學へと進学します。

二人三脚での飛躍を誓いますが、1年生の時から兄弟で明暗が分かれます。先に頭角を現したのは、弟・大翔選手。1年生ながら箱根駅伝で4区を任されると、区間3位の好走を見せ、過去最高成績となる総合3位に貢献しました。

歓喜の中にいる弟を傍目で見ていたのは兄・唯翔選手。

弟の活躍に唯翔選手は「すごくかっこよかったし、いいなと思いました。来年以降は絶対走ってやるという気持ちで頑張っていきたい」と思いを口にしました。

しかし、その差は広がっていきます。弟・大翔選手はエースとして成長を遂げていく一方で、兄・唯翔選手はケガを重ね、思うような結果が得られず、3年生では箱根駅伝のエントリーメンバーに入ることすらできませんでした。

唯翔「落ち込むというよりは、絶望みたいな感じでした。大翔は順調にいけていて、羨ましいなって」

いつしか前を向くこともできなくなっていました。

■「もう一度前を」箱根での弟からのお願い

そんな兄に、大翔選手はあるお願いをします。

大翔「少しは明るくなってくれるのかなって」

もう一度、前を向いてほしい。少しでも、一緒に走ってほしい。そんな思いから、弟・大翔選手は兄・唯翔選手に給水係を任せました。

「いまの区間順位と、『一緒に走っているぞ』と伝えました」と振り返り、「一緒に出走したいという思いがあるので、あと1回しかチャンスはない。そこは達成させたいと思います」と箱根駅伝への思いを再び思い出した唯翔選手。

箱根駅伝から5か月後、唯翔選手はケガから復帰しました。大翔選手がペースメーカーを務めたレースでは、大翔選手の前に出てアピールすると、夏合宿でもチームの主力メンバーに食らいつく走りを見せます。最後の1年は後悔がないように。強い思いが大翔選手の走りを後押ししていました。

■兄の思いも背負って 心はともに箱根路へ

11月の全日本大学駅伝、唯翔選手は弟の走りをテレビで見ていました。

國學院大學は過去最高の2位でフィニッシュ。すると弟・大翔選手は「上尾ハーフが控えていて、そこで唯翔はチームトップや上位で入ってくることができれば箱根出走は考えられる。個人的には唯翔を一番応援しようと思っているので、頑張ってほしい」と兄への思いを口にしました。

箱根駅伝のメンバー選考に大きく関わる11月20日の上尾シティハーフマラソン。レースには大翔選手も駆けつけました。

設定タイムは62分台。箱根駅伝エントリーメンバー16人に入るには、チーム内上位の成績が必要です。

大翔選手の声援を背に、力強く走り出した唯翔選手。しかし、終盤でペースを上げることができず。結果はチーム内17人中13位。設定タイムからも2分遅れてしまいました。

そして迎えた箱根駅伝のメンバー発表。

ひとりずつメンバーが読み上げられる中、最後まで兄・唯翔選手の名前が呼ばれることはありませんでした。

唯翔「悔しい気持ちもあるんですが、終わっちゃったんだという感じです。これからはチームと大翔のためにやるべきことをやろうと思います」

大翔「二人で切磋琢磨してきましたし、二人とも諦める気持ちなんて一切なく、一緒に箱根に出ることを目標にやってきたので、そこに対して悔いはないです。最後は自分がしっかりと締めくくりたいと思います」

4年間どんな時も二人一緒に同じ夢を追いかけてきた2人。最後は並んで、前を向いて。心はともに、最後の箱根へと向かいます。