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【箱根駅伝】3冠王手の駒澤大学 前回大会は涙の失速、先輩の支えで再びの箱根路へ

2022年12月27日 6:01
【箱根駅伝】3冠王手の駒澤大学 前回大会は涙の失速、先輩の支えで再びの箱根路へ
大学駅伝3冠に挑む駒澤大学(左から田澤廉選手、鈴木芽吹選手、山野力選手)
2022年10月の出雲駅伝で優勝のフィニッシュテープを切ったのは駒澤大学3年の鈴木芽吹(めぶき)選手。レース後、その目には涙が浮かんでいましたが、10か月前の箱根駅伝では、全く違う涙を流していました。

鈴木「絶望はしていたんですけど、先が見えなかったっていうのが一番あって」

それでもまたきっと走りだせる。そう思わせてくれた2人の先輩がいました。

■失意の鈴木選手を「風呂も入れてあげた」先輩

2020年に駒澤大学の門をたたいた鈴木選手は、1年生から箱根駅伝に出場しました。

山上りの5区で区間4位の走りをみせると、2年生では日本選手権3位に輝くなど、学生の枠を超えて、日本トップレベルの選手となりました。

迎えた2022年の箱根駅伝。鈴木選手が任されたのは復路の8区でした。2位でタスキを受け取りましたが、いつもの走りを発揮できず、順位を落としてしまいます。失速の原因は、左足の怪我でした。

それでもなんとか6位でタスキをつないだ鈴木選手。

「いつから足が痛くなったか明確には覚えてないんですけど、遊行寺のところで給水をもらった時点では、もう痛かったなと覚えています。個人のレースだったら絶対やめていましたが、やっぱり駅伝というのもあるので、絶対止まれなかったです」

中継所で途方に暮れ、涙があふれ出てきました。

鈴木「とりあえず先のことは全く考えられなかったです。もう終わった後は『手術とかするのかな』とか考えたりしました」

そんな鈴木選手に手を差し伸べたのは、タスキを渡した相手、先輩の山野力選手でした。

鈴木「僕3階部屋なので、風呂に行けなくて。3階から下ろしてもらうためにおんぶしてくれて、風呂にも入れてくれるみたいな。それをやってくれる人はなかなかいないです」

鈴木選手が1年生の時に寮で同部屋だった2人。普段から仲がいい山野選手が鈴木選手に寄り添ってくれました。

山野「普通そういうのは同級生に頼むじゃないですか。でもあいつ(鈴木選手)が『同級生は恥ずかしいから山野さんお願いします』って。風呂も入れさせてあげて、赤ちゃんみたいな感じでしたね」

山野選手の明るさが鈴木選手の心を軽くしてくれました。

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■鈴木選手の走りを待ち望む駒澤大のエース