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高校サッカー100回大会、東京から頂点へ

2021年12月25日 10:36
高校サッカー100回大会、東京から頂点へ

いよいよ、100回目の全国高校サッカー選手権大会が開幕します。100回という歴史の中で、長崎県の国見と並び、戦後最多の優勝回数を誇るのが、東京都の帝京です。名将、古沼貞雄監督のもと、帝京はこの選手権の全国大会で6度優勝しています。

ただ東京都の高校が選手権全国大会を制したのは、その帝京高校が70回大会で優勝したのを最後に一度もありません。

そんな中、この節目の選手権に東京都の代表として出場するのが、「関東第一」と「堀越」です。両校ともに2大会連続4度目の出場、前回大会の経験を糧に悲願の初優勝に挑みます。

まず12月28日の開幕戦に臨むのは関東第一。前回大会は2回戦で神戸弘陵学園にPK戦の末、敗れました。敗退後、小野貴裕監督は「もっと試合をさせてあげたかったですけど…」と悔し涙を見せました。あれから1年、100回という節目の開幕戦を戦うことについて小野監督は「多くの方々にポジティブな気持ちになってもらえるようなプレーを見せたい」と、意気込みを語りました。

関東第一を引っ張るのは、前回大会にも出場した主将の池田健人選手です。実は池田選手の兄、啓佑さんは96回大会で準優勝した群馬県前橋育英のメンバー。そんな兄の啓佑さんから高校に入学するときに「主将マークを巻いて全国のピッチに立つ姿を見せてくれ」という手紙をもらったそうです。今でもその手紙は弟健人選手のお守りです。

「兄の思いを背負って全国で戦います」と話す池田選手。兄の願いをかなえるため、兄も成し遂げられなかった選手権優勝という夢をかなえるため、池田主将は全国のピッチに立ちます。

一方の堀越は、ボトムアップ理論という、選手自身がメンバー選考、戦術の決定、選手交代などを行う方式を導入しています。選手の主体性を重んじるサッカーで、29年ぶりに出場した前回大会では学校史上初のベスト8進出。しかし準々決勝では前回準優勝の青森山田高校に4-0で敗れました。

2大会連続の選手権へ、率いる佐藤実監督は「前回大会の敗退から1年、青森山田にも堀越にも同じ1日24時間という日々が与えられた。その時間で何を積み重ねてきたのか、選手権で答え合わせをしたい」と話します。

選手交代の指示も出すなど、戦術を決める時の中心的存在で、主将の宇田川瑛琉(えいる)選手は前回大会の悔しさを知るメンバーの一人です。「大舞台で出せるのは、持っているもののほんのわずかだと知った。勝ち抜く精神力でどれだけ力を発揮できるかが大事」と、前回大会からの学びを口にします。

そんな瑛琉選手の双子の弟、侑潤(あうる)選手も今大会のメンバーに入りました。二人は高校卒業後、別々の進路に進みます。宇田川兄弟が同じチームでプレーをするのも選手権が最後。「笑って終わりたい」と話す宇田川兄弟の息の合ったプレーにも注目です。

今回は8大会ぶりに国立競技場で開幕戦、準決勝、決勝が行われます。30大会ぶりに優勝旗を東京の代表校が取り戻せるのでしょうか。関東第一と堀越は、300以上ある東京都の高校サッカー部の思いも背負って戦います。

近年、東京の高校サッカーを引っ張ってきた両校が、全国の強豪相手にどのようなプレーを見せるのか、是非ご覧ください。

取材執筆:伊藤遼(日本テレビアナウンサー)