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拓殖大・不破聖衣来「自分には走る資格がないんじゃないか」 ケガに泣いた4年間 最後の全日本へ

2024年10月27日 7:31
拓殖大・不破聖衣来「自分には走る資格がないんじゃないか」 ケガに泣いた4年間 最後の全日本へ
最後の全日本に挑む拓殖大4年の不破聖衣来選手
全日本大学女子駅伝が27日、午後0時10分に号砲。拓殖大学4年生の不破聖衣来選手は、最後の全日本を駆け抜けます。

■1年生で出場した全日本で“衝撃デビュー”

3年前、1年生ながらエースが集う最長9.2キロの5区を走り、6人をごぼう抜きする衝撃デビュー。28分00秒の区間新記録を打ち立てます。

同年12月には、初挑戦の10000メートルでも、学生記録でもある30分45秒21の驚異的な記録をマーク。2年生のときには全日本5区で区間賞に輝きました。

そんな素顔をのぞくと、身の回りはディズニーだらけ。隠れミッキーが勝負ピアスにもあります。

しかし、笑顔の裏では、試練の連続でした。

■強さの秘密は・・・「本当に呼吸してるのかな?」と指揮官も驚き

高校卒業時、実業団ではなく大学進学を選択。その理由は五十嵐利治監督に惹かれたからでした。

2000年のシドニー五輪マラソンで金メダリスト高橋尚子さんを育てた小出義雄氏の指導術を学んだ五十嵐監督。「(選手を)その気にさせる天才だと思います」と語ります。

不破選手の強さのワケは。それは「本当に呼吸してるのかな?」と監督も驚く心拍数。1分間にわずか40回とたぐいまれな心肺能力が多くの酸素を体中に運び、長距離ランナーとしての適性があるのです。

また「大きなストライド走法」も魅力の一つ。スピードに乗ったときの歩幅は自身の身長154センチより広いおよそ160センチで、しっかりとした体幹が、その驚異的な走りを可能にしています。

「ロサンゼルス五輪マラソン金メダル」を目標に掲げています。

■「自分には走る資格がないんじゃないか」 ケガに苦しんだ4年間

しかし、大学入学当初から貧血に悩まされ、さらに並外れた走力に身体が耐え切れず故障にも苦しむ4年間。去年は全ての大会を欠場しました。

「走れるようになったと思うとケガ。自分には走る資格がないんじゃないか」

そんな思いを胸に抱えていました。

今年4月には、1年7か月ぶりとなるレース。本調子にはほど遠い記録でしたが、心の炎は消えませんでした。

「監督に対して感謝の気持ちがあるので、最後は走りで結果として恩返ししたい」

その思いは進むこの道を、信じているからです。

五十嵐監督がある日の取材で見せてくれたのが、不破さんの中学・高校時代の練習ノート。

「選手に合った練習を考えるのが指導者の頑張りどころだと(小出監督に)教わった」と陸上を始めてからのデータや過去の練習を細かく研究して今に生かしています。

加えて、食事も管理。時には自ら台所に立ち、手料理を食べさせることもありました。

体のケアをしながら、心のケアも。いちご狩りに連れ出し、「おいしいものは食べていて幸せになります」と笑顔。

“功を焦らず、未来を目指す”それもまた小出イズム。一歩ずつ、二人は進みます。

「今やることが将来につながる」それが伝えられたのは小出監督の教え。不破選手は「少しでもいい状態でいてほしいという気持ちが伝わる行動をしてくださっている。自分の監督が五十嵐監督でよかった」と話しました。

■復活の時へ 仲間も“気持ちが入る”

8月、全日本に向けた夏合宿。大学4年間の集大成が近づいてきました。

ケガの心配は消えた。あとはやるだけ。ランナーとして、エースとして。

“行けるよ”、“最後”と後輩への声かけは責任の証。絶対的エースが戻り、拓殖大学は盛り上がっています。

3年生の山田愛選手は、「(遅れると)声かけてくれるんで嬉しい」と。4年間一緒に過ごしてきたキャプテンの門脇奈穂選手は「一緒に頑張れるのは嬉しい。“気持ちが入る”」と笑顔で復帰を喜ぶ姿がありました。

完全復活を目指す全日本の舞台は、衝撃デビューを飾ったときと同じくエース区間5区にエントリー。

「チームで優勝をずっと言ってきた。いまの自分の100%の走りをして、皆で一丸となって目指したい」

最終更新日:2024年10月27日 7:31
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