受け継がれる恩師の熱い声かけ 31歳で箱根駅伝を走った今井先生が生徒にかけた“言葉” 鶴ヶ島市立藤中が中学駅伝日本一
■恩師から受けた「言葉」 思いを生徒へ
今大会5区を任されたのは、3年生の久野温正選手。先頭と30秒差の3位でタスキを受け取ると終盤に追い上げを見せ、順位を1つ上げて8秒差に詰め寄る快走をみせます。その姿に今井監督は「あいつ頑張ってるね…」と涙。
「彼(久野選手)は夏前に故障して県大会に出ていない。この日のために“僕は駅伝をやりたいんだ”という気持ちをずっと持っていた彼が、大一番であの走りをしてくれて、グッときた。子供って成長するんだな、こんなに成長するんだなと思いました」と涙をぬぐい、笑顔をのぞかせます。
その後、アンカー6区を走った3年生の植松遼選手が、先頭を抜いて逆転優勝。ゴール直前、今井先生に「楽しんでこいよ!」と声をかけられた植松選手は、栄光のフィニッシュテープをきりました。
生徒にかけた“楽しんで”の声かけ。実はこの言葉には、箱根駅伝での恩師から受け継がれた言葉です。
これが当時、箱根駅伝4区を走った今井先生が、小田原中継所手前で駿河台大学の徳本一善監督にかけられた言葉。
今井先生は「そこから楽しむことを大事にしてきた。もちろん試合なので勝ち負けはつくんですけれど、試合を楽しむことっていうのは、すごく大事なこと。最後、“楽しんでこい”って言ったらリラックスするかなって、ペース上げるとかじゃなくて、自分の目で景色を楽しんでほしいと思って声をかけました」と、自然と恩師から受けた言葉を生徒へかけていました。
また「目標に対して、自分の持っている力で指導していくのが自分のスタイル」と今井先生。「今年勝ったから来年連覇かといえば違う。子供たちがやりたいことに助言していきたいです」と、生徒への思いを語りました。