×

高校バスケ日本一を決めるリーグ戦に初出場の美濃加茂高校 バスケ部の大黒柱“めっちゃ優しいソラ君”が頑張る理由 『絶対に負けられない』最終戦の結果は?

2024年11月30日 7:00
高校バスケ日本一を決めるリーグ戦に初出場の美濃加茂高校  バスケ部の大黒柱“めっちゃ優しいソラ君”が頑張る理由 『絶対に負けられない』最終戦の結果は?
美濃加茂高校バスケットボール部の後藤宙選手
快進撃を続ける岐阜県の美濃加茂高校バスケ部が、高校ナンバーワンを決める大会に初出場。激戦の裏には、先輩から後輩への熱い思いがありました。

目標はベスト4入り! すべては後輩たちのために…

ド派手な演出に満員の観客、その上空には巨大なキャラクターが出現。まるでプロバスケの会場のようですが、行われていたのは高校生の大会。今年で3回目の開催となる「U18日清食品トップリーグ2024」です。全国から選ばれた高校8チームが、3か月かけてリーグ戦で高校日本一の座を競います。

このハイレベルなリーグ戦に初めて挑戦するのが、岐阜県の美濃加茂高校バスケットボール部。1991年に創部し、現在59人の部員が練習に汗を流しています。

その中に、並々ならぬ決意をもってこの大会に臨む選手がいました。「自分たちは最低ラインをベスト4においている」という、後藤宙(そら)選手、3年生です。

美濃加茂高校は、この夏のインターハイで岐阜県勢過去最高となる準優勝に輝いたのですが、その急成長を遂げたチームの中心にいるのが後藤選手なのです。

プレースタイルは、シュートに行くと見せかけてバックハンドパス、センスあふれるトリッキーなプレー、さらに体を張ったディフェンスと、攻守にわたるバランスの良さが魅力。

指導する林監督も、後藤選手のことをこのように評価しています。

林龍幸監督:
「(後藤選手は)いろんなことができると思う。オールラウンドにやれる選手。シュートは3ポイントも打てるし、パスはいろいろな(ところの選手に)配慮して出している。そういう部分はすごいと思う」

監督も認める美濃加茂高校バスケ部の大黒柱・後藤選手。そんな彼がベスト4にこだわる理由…それは、ベスト4に入れば来年の「U18日清食品トップリーグ2024」の出場権が得られるからです。

美濃加茂高校バスケットボール部 後藤宙選手(3年):
「自分たちも1年生の頃から(いろんな)試合に出させてもらっている。その経験があって今がある。自分たちが今度は後輩に経験させていく番」

山形県出身の後藤選手は、親元を離れ、寮で暮らしながら高校生活を送っています。その寮にお邪魔すると、部屋は2畳ほどの広さしかない狭小スペース。この日はテスト期間とのことで、日本史の勉強をしていました。

「(バスケと勉強の割合は)今はバスケ8割ですね。小さい頃からやってきたんで、青春をバスケに注いできた。自分の中では生きがい」と話す後藤選手。一番の息抜きは、後輩とゲームをすることだそうです。

1・2年生にとって後藤選手はどんな先輩なのでしょうか。後輩たちに話を聞いてみると「めっちゃ優しいです」「上下関係感じない優しい先輩です」と、かなり慕われている様子。さらに「宙くんや先輩たちが頑張って残そうとしてくれる結果を、自分たちで終わらせないように、次につなげるように頑張りたい」と話す2年生も。

後藤選手の思いは、後輩たちへしっかりと伝わっているようです。

ラスト1秒までわからない壮絶な最終戦 勝利をつかんだのは…

「後輩たちに活躍できる舞台を作ってあげたい」という強い気持ちで臨んだ「U18日清食品トップリーグ2024」。3勝2敗で迎えた第6戦で勝てばベスト4は確実でしたが、インターハイ王者・京都の東山高校に主導権を握られ、敗れてしまいました。

美濃加茂高校バスケットボール部 後藤宙選手(3年):
「ベスト4に確実に入るには次、勝たなければいけない。自分たちのやることをやって、内容もしっかりして、結果につなげたい」

ベスト4入りをかけ、絶対に負けられない最終戦に挑む後藤選手。対戦相手は、この大会の初代王者である強豪・福岡第一高校です。

第1クォーターでリードを許した美濃加茂高校ですが、第2クォーターでは後藤選手が躍動。相手のパスをブロックすると、まっすぐゴールへ向かい得点をアシスト。今度はパスを受けると、自らシュート。美濃加茂高校のリードで前半を終えました。

しかし、相手は元王者。次々とシュートを決められ再逆転を許します。第3クォーターを終え、10点差をつけられてしまいました。後輩たちも心配そうに見つめます…。

劣勢ムードが漂う中、逆転勝利をかけた運命の最終第4クォーターが始まりました。ここで後藤選手の攻撃センスが光ります。フリーの状態で走り込んでシュート。さらに、相手の視界の外から斜めに走り込んで追加点。しかし、福岡第一高校も粘りを見せ、リードを守ります。

あとがない美濃加茂高校でしたが、残り10秒で関選手がミラクルショット! これで同点とし延長戦へ。延長戦は5分間。ここまで後藤選手は、すでに40分間フルタイムでプレーしています。

しかし、その後藤選手のパスが起点となって美濃加茂高校が逆転。さらに力を振り絞り、粘り強いディフェンスで相手に思うようなプレーをさせません。

そして、相手が放った最後のシュートが外れ、試合終了。

初挑戦の「U18日清食品トップリーグ2024」で、美濃加茂高校は全国の強豪相手に4勝3敗と勝ち越し、最終順位はなんと2位! 準優勝に輝きました。

来年の出場権を勝ち取った後藤選手は、試合後このように語りました。

美濃加茂高校バスケットボール部 後藤宙選手(3年):
「後輩たちの経験の場として(来年も)設けられたことは、これからの美濃加茂にとって大きな影響を与えると思う」

ゲーム仲間でもある後輩も「ヒーローのようにかっこよかった」と、改めて後藤選手のすごさを実感したようです。「帰ったら、また一緒にゲームをする」と笑い、後藤選手は会場を後にしました。

美濃加茂高校は今年インターハイ2位、日清トップリーグで2位と、優勝まであと一歩のところまで来ています。次は12月23日から始まるウィンターカップで初の全国制覇を目指すということです。

最終更新日:2024年11月30日 7:00
中京テレビのニュース