北京五輪 フィギュア樋口新葉 ”神写真”がとらえた”思い”
北京五輪で注目のフィギュアスケート。カメラマンの視点で見所を紹介するシリーズです。第5弾の今回は、21歳の樋口新葉選手。平昌五輪で代表入りを逃した悔しさを胸に、大技・トリプルアクセルを習得。北京五輪の代表の座を掴みました。スポーツニッポンの小海途良幹カメラマンに聞きました。
■4年前の挫折
こちらは、2017年12月の全日本選手権で、樋口新葉選手がフリーの演技を終えた直後の写真です。
全日本は平昌五輪の最終選考会。当時16歳だった樋口選手は、有力な代表候補とされていましたが、フリーでジャンプのミスが出て4位。平昌五輪出場はかないませんでした。
うつむいてリンクを軽くたたいた樋口選手。
小海途さんはこう感じたといいます。
「悔しさももちろん感じました。でも、ここで終わっていく感じではなく、次につなげていくんだろうなという感じを受けました」
大事な大会で力を出せなかった自分の弱さが悔しい、そう話した樋口選手。必ず北京五輪へ…強い思いを胸にその後、努力の末に大技・トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を習得しました。これまでは試合でなかなか成功させることが出来ませんでしたが、それでも挑戦を続けて、今シーズン、成功率を上げました。
■北京へ…4年間の思い
そして、2021年12月の全日本選手権。
北京五輪の最終選考会、フリーの演技では、トリプルアクセルをわずかな着氷の乱れにおさえ、その後、次々とジャンプを成功。高得点で2位に入り、北京五輪出場を決めました。
こちらは、演技が終わった直後の樋口選手です。
演技終了直後、ガッツポーズで「出来た!」と叫んだ樋口選手。4年前の雪辱を果たしました。
「4年前の全日本では、平昌五輪の代表に選ばれなかった樋口選手の様子が一番印象に残りました。今回、最後に感情を爆発させるのを見て、4年間の頑張りが報われたな、歩みがようやく実を結んだんだなと思いながら撮影していました」
■北京五輪の見所
北京五輪では、ショート・フリー共にトリプルアクセルに挑戦するとしている樋口選手。フリーの「ライオン・キング」は、樋口選手自身のスケート人生をプログラムに重ねました。苦難や挫折をへて、最後は希望で締めくくります。
「良い演技が出来た時の最後のステップはビクトリーロードのような感じです。選手にとってもご褒美のような瞬間だと思います。北京でもそんなステップを見られたらいいですね。攻めている樋口選手をみたいです」
*スポーツニッポン・小海途良幹カメラマン
主に五輪競技やサッカーを担当。
2017年からフィギュアスケートを撮影。
写真集「YUZU'LL BE BACK」「Mao Thanks Memories」