【箱根駅伝】瀬古利彦「駒澤大学は10人の駅伝をやった」 第99回箱根駅伝を振り返る
復路でも安定感を見せた駒澤大学
「下りに強い選手だなと思いました。ペースを上げることもなく、慌てることもなく安定して走っていたのはすごかったです。1年生離れしていました」
瀬古さんが賞賛するのは、駒澤大学・伊藤蒼唯選手(1年)です。伊藤選手は、標高差840mを駆け下りる『山下りの6区』で58分22秒の好タイムを記録。1年生ながら区間賞を獲得しました。
瀬古さんはこの6区でリードを広げたことで、駒澤大学が一層有利になったと話します。
「あれで駒澤大学が勢いに乗りましたね。6区で他の大学が止めていると全然展開が違ったと思いますが、差が開いてしまい勝負あったという感じでした。それで7区以降がのびのび走れたのは大きかったです」
その後、7区以降も一度も首位を奪われることなく最終10区まで走り抜いた駒澤大学。6区での復路スタートダッシュの成功が、チーム全体に勢いをつけたようです。
さらに、瀬古さんは駒澤大学の “総合力の高さ” が他の大学より際立っていたと話します。
「駒澤大学は区間賞が1人しかいないですよね。だから、誰か一人が飛び抜けて活躍したということではないです。2区を走ったエースの田澤廉選手(4年)だけにも頼らなかった。10人の駅伝をやった結果が、この優勝だと思います」
駒澤大学で区間賞を獲得したのは、6区を走った伊藤選手のみ。しかし、そのほかの9区間では全員が区間5位以内に入るなど盤石の走りを見せたことを瀬古さんは評価しました。
「(2位の中央大学とは総合成績が1分42秒差で)そんなに開いたわけではないので、一人失敗したら逆転される差です。本当に僅差でした。全員がしっかり走れたことが大きいです」
選手一人ひとりが見せる安定感のある走り。それこそが駒澤大学の強さだったということです。
来年は100回大会 瀬古さんの注目は?
駒澤大学が総合優勝を決めた第99回箱根駅伝。来年は節目の100回目の開催となります。瀬古さんに第100回大会での注目チームも聞きました。
「中央大学も2位に入ってきたので、来年以降優勝狙える常連校になる可能性を秘めていますよね。(2区区間賞を獲得した)吉居大和選手(3年)も残っているし、これは来年チャンスですね。かなり期待できます」
駒澤大学が2連覇を達成するのか。中央大学など他の大学が躍進するのか。選手たちは次なる戦いに向けて、走り出します。