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【箱根駅伝】瀬古利彦の優勝予想は? 「駒澤、國學院、青山学院の3つの中から出る」

2023年1月1日 9:01
【箱根駅伝】瀬古利彦の優勝予想は? 「駒澤、國學院、青山学院の3つの中から出る」
瀬古利彦さん(右下)が挙げた優勝候補は駒澤大学(左上)、國學院大学(右上)、青山学院大学(左下)【写真:SportsPressJP/アフロ】
1月2日、3日の2日間にかけて行われる第99回東京箱根間往復大学駅伝競走。解説を務める瀬古利彦さん(DeNAアスレティックスエリートアドバイザー/日本陸連マラソン強化戦略プロジェクトリーダー)は、優勝は駒澤大学國學院大學青山学院大学の3校の中から出ると予想しました。

■3冠王手の駒澤 エース田澤廉には「2区区間新で最強ランナーになって欲しい」

10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝を制し、今季の大学駅伝の中心にいるのは駒澤大学。大学三大駅伝完全制覇となる"3冠"に王手をかけています。

「選手層が厚いというのもあるかもしれないけど、出雲も全日本も1人もミスをしないのがすごい。大八木(弘明)監督の選手配置を読む長年の経験も生きていますよね」

今季の出雲6区間、全日本8区間の計14区間の最低順位が区間5位。すべての選手が上位に入る好走をたたえた瀬古さん。その中でも注目しているのは2選手。1人は箱根駅伝では花の2区にエントリーされたエースの田澤廉選手(4年)です。

「やはり田澤君が核になって駒澤はうまく回っている。彼がいることで他の選手にもすごく安心感が生まれていると思います。いい所に持ってくれば、必ずやってくれる選手。2区のイェゴン・ヴィンセント(東京国際4年、2年時に記録達成)の記録を破って欲しいなと僕は思いますよ(記録は1時間5分49秒)。それをしたら2区の箱根駅伝史上最強のランナー。瀬古利彦を超えますね(笑)」

出雲3区(8.5キロ)では区間2位。全日本7区(17.6キロ)では区間賞の活躍。それでも瀬古さんは「7月の世界選手権があって、本来の練習を夏場にやれていなかったと思う。出雲と全日本はまだまだ。彼の走りからしたら6割ぐらい」と、箱根駅伝では更なる姿を見せてくれることを期待していました。

■スーパールーキー佐藤圭汰は3区予想「堂々としている。1年生らしくない」

瀬古さんが注目しているもう1人の選手は1年生の佐藤圭汰選手。出雲2区(5.8キロ)では15分27秒で区間新記録をたたき出し区間賞。スーパールーキーの実力をいきなり見せつけました。

「堂々としていますよね。走りが1年生らしくない。多くの1年生は不安な走りが顔に出てくることがあるけど全然ない。3年生ぐらいの姿に見える」

すでに上級生の風格を見せる走りを称賛。区間エントリーでは補欠登録となっている佐藤選手の起用法について瀬古さんは。

「僕は3区かなと思っているんですよ。いい流れで前半いきたい所に佐藤君が出てきたらすごいなと思うよ。(湘南の浜風が吹いても)彼は体も大きいので、あまり影響はないかな」

出場すればその走りに期待したいという瀬古さん。一方で起用に不安要素もあると言います。

「全日本(2区11.1キロで区間2位)を走っていましたが、それ以上の距離を走ったことが試合ではないんだよね。そこはすごく未知数。箱根は今までの駅伝とは違うので、果たして大八木監督がその未知数の部分をどう考えているか。僕は非常に悩むと思うよ。駒澤は20キロ以上を走れる選手が他にもいっぱいいるので、ちょっとでも不安があったら他の選手を使ってくる可能性もある」

チームでは唯一10000mの公認記録を持たない佐藤選手。当日区間変更での起用はあるのでしょうか。

その駒澤大学を破る可能性のある大学について、瀬古さんが最初に挙げたのは國學院大學。

「出雲も全日本も2位とやっぱり力があるんですよ。長ければ長いほど実力を発揮するのかなと思う。中西、伊地知、平林、山本、みんなすごいんですよ!そこがうまく機能すると、一気にいっちゃうかもしれない」

國學院の4本柱と呼ばれる中西大翔選手(4年)、伊地知賢造選手(3年)、平林清澄選手(2年)、山本歩夢選手(2年)の安定感とハイレベルな実力を高く評価している瀬古さん。区間エントリーでは3区に山本選手、5区に伊地知選手を起用。一方でキャプテンの中西選手と10000mチーム最速の平林選手は補欠登録。当日どこの区間を走るか注目されます。

「國學院は先手必勝と聞いていますから、往路で4人全員使うか分からないですけど、3人は使っていくでしょうね。往路で駒澤に勝っていたいところですね、復路のことを考えると。特に平林君は伸び盛りで、長い距離が大好きに見える。飄々(ひょうひょう)と走る姿は魅力的なので、2区を走ると面白い。いい形でつなげれば、3区山本君で勝負できるといいですね」

國學院の最高順位は往路2位で総合3位。初の箱根駅伝優勝を目指します。

■前回王者の青山学院は「プレッシャーは駒澤。気が楽と言えば楽」

前回王者の青山学院大学は出雲では4位、全日本では3位の結果。この2大会で区間賞はいなかったものの、10000m28分台ランナーは出場校トップタイの13人。チームとしての総合力はトップクラスです。瀬古さんは王者ながらも、プレッシャーがないことが精神的にプラスなのではないかと話しています。

「ディフェンディング王者だけど、周りは『駒澤』。プレッシャーは駒澤にいっているから、気が楽と言えば楽」

そして優勝の確率については「駒澤50%、國學院30%、青山学院20%。優勝は駒澤、國學院、青山学院の3つの中から出るでしょう。各大学からは『瀬古さんの優勝予想は外れるから、1位に指名しないでくれ』と言われている。だからちょっと曖昧にさせてください(笑)」

箱根駅伝は1月2日午前8時に往路がスタート。2日間で総距離217.1キロを21チームが走ります。