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「背中を押してくれる言葉」 377日ぶりの自己新 中学生ロングジャンパーを全国準優勝へ導いたものとは 山梨

2024年9月23日 12:35
「背中を押してくれる言葉」 377日ぶりの自己新 中学生ロングジャンパーを全国準優勝へ導いたものとは 山梨
ストイックな姿勢は日誌にも

 軽やかな助走から空へ”跳び立つ”―。山梨県南アルプス市の櫛形中3年、仁科希來(にしなきく)選手は、8月に福井県で行われた陸上競技の全日本中学校体育大会(全中)で準優勝。県中学記録に迫る5m80をマークし、初めて全国大会の表彰台に立ちました。1年以上も自己記録を更新できず、もがき苦しみましたが、仁科選手にはかけがえのない存在がありました。

■天性の踏み切り局面 ストイックさも

仁科選手

「みんな強そうで、その中に自分も入ることができてうれしい気持ちもあったが、やっぱり1位がよかった」

 全中の準優勝をそう振り返る仁科選手の持ち味は、高いスプリント力と跳躍技術。100mの自己ベストは12秒91。県で2番目のタイムです。

櫛形中陸上競技部 上田直人コーチ

「一番良いところは踏み切り局面。天性のものがある。ストイックで真面目、そういう良さも持っている」

 そのストイックさは「練習日誌」にも。

仁科選手

「(ページの)下まで書くようにして自分に甘さを出さない。何かを続けることにつながるから毎日書いている」

 チームメートは、男子1500mの県中学記録を塗り替えた鴨作大夢選手(3年)など実力者ぞろい。県内の公立中の名門で技術を磨き、全国屈指のジャンパーへと成長しました。

 しかし、ここまでにはいくつもの辛い思い出が―。

■1年以上も自己ベストを更新できず

仁科選手

「全中に3年間出たが、1年生のときは全部ファウルで記録が残らなかった。2年生の全中も(自己ベストが)5m以上なのに4m台だった。その後もなかなか記録が出なかった」

 2023年8月以降、1年以上も自己ベストから遠ざかり、気付けば中学最後となる全中の目前でした。

 焦りとプレッシャーに押し潰されそうになる中、仁科選手の目に飛び込んだのは、ひたむきに頑張る仲間たちの姿でした。

仁科選手

「それぞれ自己ベストを出す仲間が頑張る姿を見て、『自分も頑張らなければ』『負けていられない』と思って頑張れた」

 仲間の姿は勇気に。全中が1週間後に迫る中でも、仁科選手は助走の構えを修正するなど、理想のジャンプを大会直前まで追い求めました。

 そんな仁科選手へ、思いがけないサプライズも。

仁科選手

「(全中への)出発前に、わざわざ駅まで櫛形中の陸上部の人たちが来てくれた。チームのみんなからもメッセージをもらって、何回も何回も読み返した。『大丈夫だよ』という言葉があって、すごく背中を押してくれる言葉で安心して臨めた」

 迎えた大一番で、実に377日ぶりとなる自己新記録。仲間の応援に、会心のジャンプで応えました。

仁科選手
「みんなと今まで練習した日々があって、自分だけの力ではなく、たくさんの人の力があったからこその結果だと思った。(仲間からの)『おめでとう』という言葉が悔しい気持ちに寄り添ってくれて安心した」

■支え合った時間 「卒業するのが嫌」

 全中が終わり、卒業へのカウントダウンも始まりました。仁科選手は3年間を振り返り、仲間たちへ伝えたい思いがあります。

仁科選手

「毎日みんなで一緒に頑張ってきたことがすごく楽しかった。卒業するのが嫌で、ずっと一緒にいたい。『ありがとう』という言葉を伝えたい」

 仁科選手の言葉は、チームメートへの感謝の思いであふれ、部員の仲の良さも伝わりました。仁科選手は高校進学後も走り幅跳びを続けます。
(「YBSスポーツ&ニュース 山梨スピリッツ」2024年9月22日放送)

最終更新日:2024年9月24日 8:52
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