2人だけだった女子硬式野球部 1期生"最後の夏" 全国選手権へ24人で挑む 山梨県
2022年、たった2人の部員からスタートした甲斐清和高女子硬式野球部(山梨県甲府市)。1期生の3年生にとって"最後の夏"がやってきました。頼もしい後輩たちと目指すのは阪神甲子園球場です。
■甲子園「出るしかないでしょ」
「野球ノート」の1ページ目に記された夢は「甲子園」。
2022年春、県内初の高校女子硬式野球部として産声を上げた甲斐清和の野球部。そのスタートは、土屋笑夢主将と廣瀬那菜選手、たった2人でのチャレンジでした。
土屋主将(当時1年)
「高校で野球が続けられることを本当にうれしく思う」
廣瀬選手(当時1年)
「甲子園を目指せるとなったら『出るしかないでしょ』という感じでやっていきたい」
目指すは毎年夏に行われる全国高校女子硬式野球選手権大会。決勝の舞台は甲子園球場です。
2人しかいない、限られた練習メニューでも、前向きに明るく進んできました。
すると、2年目の春には、新入生が続々と入部。
小林幸彦監督
「うれしそう。もう本当にワクワクしてやっている。2人きりでやってきたからね」
土屋主将(当時2年)
「実戦ができるというのがまず最初に浮かんでうれしかった」
廣瀬選手(当時2年)
「最初に聞いたときはびっくりした。この人数が集まってくれて、ことしからは単独チームで出られるというのがうれしい」
■投打に戦力充実 リーグでは上位に
さらに、創部3年目を迎えた今春も10人の1年生が加わり、マネジャーも含めると総勢24人に。
今季から関東の強豪が参加するヴィーナスリーグに参入すると上位をキープ。チーム力も着実に高まっています。
投げては左右の二枚看板。長身サウスポー・三森千夏投手と右のエースでキレのあるボールが武器の花井杏紗投手。2年生コンビの継投が、勝利の方程式です。
攻撃では、俊足を生かした小技が魅力の廣瀬選手と、勝負強い土屋主将の3年生2人が引っ張る、抜け目ない打線。また、4番・島田杷莉瑳選手(2年)はリーグ戦での長打率が7割を超える絶対的なスラッガーです。
2年前、たった2人だけだった野球部は、頼れる後輩がずらりとそろい、見違えるほど充実した戦力が整いました。
土屋主将
「2人から始まって、3年目でこんなにできるんだとびっくりしたし、感動もある。毎日部活をやりたくて、テスト期間で部活がないときも那菜と2人で『部活やりたい』って。『やばいよ、やらなきゃ』って」
■近づく"ゲームセット"「来てほしくない」
練習が楽しくて仕方がないと語る3年生2人ですが、"最後の夏"…部活動引退までのカウントダウンが進んでいるのも事実です。
土屋主将
「(大会までの)カウントダウンをしていて、『残り40日』と那菜と言っていたのに、もう半分を切ってしまい、早すぎて怖い。まだ(大会が)来てほしくない」
「このチームで、少しでも長く」。その思いは後輩たちも一緒。
島田選手
「1年のときから野球をしてきて、ずっと自分たち(後輩の入学)を待っていてくれたので、大会で勝って長く一緒にやりたい」
三森選手
「那菜先輩とは保育園のころから一緒。野球をするのも同じ学校なのも最後なので、長く一緒に野球ができるように頑張る」
■2人の集大成 24人の最後の大会
甲子園を目指し、山梨で初めて生まれた、女子高校生の硬式野球チーム。3年生2人の集大成となる夏の選手権は、20日に開幕します。
土屋主将
「創部3年目で甲子園に立てたらすごいし、ずっと一緒にやってきた那菜と甲子園に立てたら最高。自分は大学で野球をやるつもりはないので野球人生最後の大会をこのメンバーで笑って終われたらと思う」
廣瀬選手
「笑夢とできる最後の大会だし、この24人でできる最後の大会なので、悔いなく笑顔で終わりたい」
部員がそろい、心から楽しそうに野球に向き合う野球部。創部から指導する小林監督は、後輩が入るたびに成長していく1期生2人をとても頼もしく感じています。下級生は3年生をお姉さんやお母さんのように慕う選手ばかり。3年生と少しでも長くプレーしたいという思いが、チームに一体感をもたらしています。
3年生の最後の大会となる選手権は兵庫県で20日に開幕。甲斐清和は21日にオイスカ浜松国際(静岡)との1回戦に臨みます。
(「YBSスポーツ&ニュース 山梨スピリッツ」2024年7月14日放送)