秋田新幹線の新仙岩トンネル 物価高や働き方改革の影響で事業費300億円増額 工期も伸びる見通し
岩手との県境で整備が計画されている秋田新幹線の新仙岩トンネルも事業費を増やす案が示されました。JR東日本は物価高騰の影響などを踏まえて事業費を300億円増額し、約1000億円にする新たな試算を県に示しました。
新仙岩トンネルは秋田新幹線の田沢湖駅と岩手の赤渕駅の間、約15キロをほぼ直線で結ぶ整備計画で、東京ー秋田間の移動時間を7分短縮できる見込みです。さらに谷底を縫ういまのルートに比べて天気の影響を受けにくく、運行の安定性を高められるメリットもあります。
JR東日本はこれまでは整備費用を約700億円と試算し、6割をJRが支払い残りの4割を国や県などの負担で賄うことを想定してきました。
計画の具体化に向けてJR東日本は2021年10月から今年3月まで地質調査を行った結果大幅な計画変更の必要性は認められないと結論付けました。ただ、物価高騰や働き方改革の影響で、事業費は当初の予定から300億円増やして約1000億円にする試算を県に示しました。また工期も当初から4年伸びて着工から15年かかるという見通しを示しています。
トンネル整備の早期実現に向けて県とJRは覚書を取り交わすなどしていますが、5日の県議会では大幅な事業費の増加について意見が飛び交いました。
小原正晃議員
「莫大に膨れ上がっていく工事費について、どれくらいの恩恵があるのか」
県観光文化スポーツ部 石黒道人部長
「(JRからの)提案をそのまま報告しただけで、このあとどうするかだからすぐやるという話でもありませんので」「たった7分かという議論もあります。ここだけだと7分ですけど、JR側は東北新幹線部分の整備を進めて320キロ区間を北海道新幹線の開通にあわせて360キロにすると、それを含めてこれ(トンネル整備)をやれば、秋田まで3時間強で着けるようになる。そんなところの効果がどのくらいあるのか、それがこれに見合うのか」
県の担当者は県の負担額について「事業の枠組みが固まっていないためいまは示せないが様々な交付金や補助制度があるので、まずは示された試算を精査してJRやほかの自治体との協議を進めていきたい」と説明しました。