新年度から「給食費格差」拡大 “無償化”か“値上げ”か…自治体の対応わかれる愛知 「道路1本挟んで、この差は…」
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愛知で“給食費格差”拡大へ…
2月12日、愛知県蒲郡市の「蒲郡西部小学校」で、全校児童が一緒に給食を食べるイベントが開かれていました。そこで提供されていた給食は、すべて無料。
蒲郡市 鈴木寿明市長:
「子育て世帯の家庭に少しでも経済的負担を軽くしていこうということで、支援(無償化)を決めました」
蒲郡市では、2月と3月の「2か月限定」で給食費を無償化することに。家計にとってはありがたい取り組みです。
しかし、給食費を巡っては、自治体によって対応が分かれています。
日進市では、2025年4月から給食費を一食あたり小学校で30円、中学校で35円値上げする予定です。
日進市 学校給食課 岡田剛主幹:
「著しい物価の高騰に伴い、給食費の値上げを考えています。(これまでと同じ)給食の質と量を提供するために、値上げせざるを得ない状況になりました」
日進市が値上げに踏み切る一方、隣接するみよし市では2024年1月から給食費を無償化。
このような自治体による方針の違いにより、新年度から愛知県内の給食費格差は広がる見込みです。
値上げが予定されている日進市の保護者は、物価高などの背景に理解を示す一方、「道路をひとつ挟んで(違う)という、その差はどうなんだろうかと思います」という声も聞こえてきました。
“無償化”と“値上げ” 岐路に立つ自治体
全国的にみると給食無償化の動きは急速に広がっています。
小中学校ともに給食を無償化しているのは、2017年度では76自治体でしたが、2023年9月には約7倍となる547自治体に増加。全国の約3割が無償化しているのです。
そんな中、愛知県では無償化を進める自治体もあれば引き上げる自治体もあり、2025年度は地域による"給食費格差"が広がるとみられています。
県内54市町村について調査したところ、2025年度の給食費を小中学校ともに無償化する予定なのは、豊田市・安城市・みよし市・飛島村・豊根村の5自治体(いずれも前年度からの継続)。県内の約1割にあたります。
一方で、給食費を引き上げる予定なのは、長久手市・日進市・東浦町・知多市・常滑市の5自治体。引き上げの理由については、物価高騰などの影響により、質と量を確保するには値上げせざるを得ないとしています。
給食費の値上げで、家計にどれくらい影響がでるのでしょうか。
日進市でみてみると、現在の給食費は小学生1人あたり1食240円、年間4万3920円ですが、2025年度からは1食あたり30円値上げされるため1食270円、年間4万6970円となり、3050円ほど高くなる予定です。
無償化する自治体と引き上げる自治体を地図でみると、方向性が同じ自治体がかたまっていることがわかります。自治体は、できるだけ近くの自治体同士で差がでにくいように足並みをそろえているとしています。
愛知県としても地域ごとの差をできるだけなくしたいとしていますが、財源の面などで難しいのが現状で、国に財源確保や具体的な政策を要望しているということです。
子どもの成長のために必要な給食。無償化しても質や量が低いものが出てきては本末転倒です。無償化したくてもできないという自治体の苦しい声も聞こえる中、国や県がリーダーシップをとって対策を講じることが求められているのかもしれません。