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【密着】82歳の匠 昔気質で無骨な伝統工芸士 越前打刃物の技を弟子に継承

2023年11月22日 18:26
【密着】82歳の匠 昔気質で無骨な伝統工芸士 越前打刃物の技を弟子に継承
真っ赤に燃える炎で刀を打つ

700年の歴史を持つ越前打刃物の産地で、初めてとなる伝統工芸士資格の更新試験が行われました。老いと闘いながら、刃物づくりに打ち込み、若手に伝統の技を継承する82歳の匠の姿を追いました。

■現代の名工にも資格試験!?

越前打刃物職人で、現代の名工にも認定されている清水正治さん(82)。伝統工芸士の資格の更新試験の日を迎えました。

□伝統工芸士の仲間
「あんたはペケ(×)や。口がうるさいでペケや(笑)」
□清水正治さん
「ペケでいい。そんなもん(笑)」

30年以上前に伝統工芸士の資格を取得した清水さん。面接は久しぶりです。

□面接官
「品物を作るにあたってどういうお気持ちで作られましたか?」
□清水正治さん
「いつもやっていたことですから。そのままやっただけのことです」

■50年ほど前に誕生した伝統工芸士にも高齢化の波が…

伝統工芸士の資格は後継者不足で低迷していた工芸品の振興を図ろうと、今から50年ほど前に誕生しました。5年ごとに更新の手続きが必要で、今回からは実技と面接の試験が設けられました。

□清水正治さん(平成4年当時)
「産地発展のために骨身削ってやらないと。何事も」

越前打刃物の産地では、18人の伝統工芸士のうち70代以上が8人と高齢化が進んでいます。

■老いには負けていられない

老いと向き合いながらも、ものづくりに情熱を注ぎ込む清水さん。
この日向かったのは福井市内の病院です。

□診察室でのやりとり
医師「膝の調子はどうですか?」
清水さん「膝は調子いい」
医師「足の力は十分あるし、膝も腫れたり熱を持ったりしていないので、順調にいっています」

鍛造の作業で体重のかかる膝への負担は大きく、10年ほど前に手術を受けて、今も病院で定期的に診察を受けています。

□福井赤十字病院・高塚和孝医師
「結構しゃがむ、立ち上がる動作をされるので、人工関節にすることでだいぶ楽になっています」

□診察室でのやりとり
医師「脚の力を診ましたが、十分あります」
清水さん「問題ないよね?」
医師「無理せんでいいからね。できることは頑張ってやってください」

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■伝統の技をこれからの世代に
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