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【全国的な問題】「議員のなり手がいない」あさぎり町議選で初の無投票 専門家はどう見る

2024年4月17日 19:24
【全国的な問題】「議員のなり手がいない」あさぎり町議選で初の無投票 専門家はどう見る

地方選挙に立候補することができる年齢は、県知事選は満30歳以上、県議会議員、市町村長、市町村議会議員は満25歳以上となっています。若い世代も立候補できますが、今、全国的に“なり手不足”が問題となっています。

KKTがまとめた去年までの4年間で無投票だった県内の選挙の数(補選は除く)は、自治体のトップを選ぶ首長選挙では県内45市町村のうち22の市町村。市町村議会議員選挙では、9市町村で定員を上回らず、無投票で当選が決まりました。

そのような状況の中、16日に告示されたあさぎり町議選では、町が誕生して以来、初めて無投票での当選が決まりました。異例の事態に候補者たちが感じたこととは。

16日に告示されたあさぎり町の町議会議員選挙。候補者たちは、複雑な思いで迎えていました。現職の山口和幸氏(72)は、5回目の当選を目指し、立候補しました。
■5回目の当選目指す山口和幸氏(72)
「本日の夕方5時まで、選挙戦があるのか、選挙戦がないのかはっきりしない中、見えない部分での選挙戦でありますが、ぜひ皆さん方のご協力をお願い申し上げたい」

定数14に対し、町選管への届け出は14人。午後5時までに新たな候補者が現れなければ、無投票での当選が決まります。

■4回目の当選目指す橋本誠氏(63)
「やっぱり選挙をして、町民のみんなから付託されてから議員になるのが議員のあり方だと思うので、無投票というのは本来であればないと思っています」

そんな思いもむなしく午後5時、立候補の受け付けは締め切られ、無投票での当選が決まりました。無投票となったのは、2003年の合併で町が誕生して以来、初めてのことです。

■5回目の当選 山口和幸氏(72)
「もやもやとした気持ちがなかなか晴れなくて、頭の中で無投票はいかんよねと思ってみたり、早く無投票が決まったらいいなと思ったりの連続だったですね」

■4回目の当選 橋本誠氏(63)
「次回の選挙は、定数以上の人が、若い人たちが来てもらって、活気のあるあさぎり町になってくれればと思っています。そのためには、政治に関心を持つ人たちを育てていかなければと思っています」

町の人たちは。
■あさぎり町民(70代)
「今のこの世の中の状態から見れば、それもやむを得ないと思うんですけど、あさぎり町で無投票は寂しいような感じがします」
■あさぎり町民(60代)
「健全な民主主義のかたちではないですよね。でもこの状況になったのはいろいろな理由があるでしょうから、仕方ないなという感想です」

【スタジオ】
(畑中香保里キャスター)
町民からも、そして議員自身からも複雑な声が聞かれました。また、なり手不足の要因について、話を聞くとと出てきたのが報酬です。あさぎり町議の月額報酬は、地方自治法で月額23万7000円と定められています。
町議に話を聞きますと、ここから税金などが引かれると手取りは20万円を切るケースもあるということです。議員の仕事を最優先とするため、副業にかけられる時間も限られてしまい、立候補を躊躇する要因になっているのではないかと話していました。

この議員のなり手不足について地方政治に詳しい熊本大学法学部の伊藤洋典教授に話を聞きました。
■熊本大学法学部 伊藤洋典教授
「今、全国的にだんだん無投票が増えたりだとか、なり手がいなくなるというような、あるいは投票率が低下するという傾向です。『この地域はこの人』みたいな、日本の選挙はそういうことが多く見られるんですが、地方議会の場合も、そういう風にもう固まってしまっているようなところが多く、そこに割って入るというのがなかなか難しいという現状もあります。議会に住民の方が傍聴しやすいような仕組みをつくるとか、いろんな方法がありますが、議会というものの役割を認識してもらうというのが、一番遠いようで一番近道かなと思います」

(畑中キャスター)
伊藤教授は、なり手不足の課題はあるものの、定数を削減するのではなく、議員になりたいという人の掘り起こしをしていく必要があるとしています。