【しほママ防災術】毎秒約12トンの雨水を処理 大雨災害から命を守る設備へ潜入
防災について学ぶ「しほママの防災術」です。防災士の柳原志保さんと同じく防災士の永島由菜アナウンサーとお伝えします。
これからしばらくは大雨の日が増え、災害も心配です。
今回のテーマは「大雨災害から命を守る!」
■しほママ
「熊本市東区にやってきました。ここで熊本市が浸水を防ぐための工事をしているということなので、どういった工事なのかちょっと入ってみましょうか」
案内してくれるのは熊本市河川課の皆さんです。
■熊本市河川課雨水対策室・西章室長
「こちらの現場では上流で大雨の時に降った雨を下流まで速やかに流すために地下にバイパス管というものを通すための工事を行っているところです」
工事が行われているのは東区桜木の地下10メートルの空間です。
普段は見られない工事現場、どうなっているのか、地下に降りてみると…
地下にあったのは長いトンネル、遠くに光が見えています。トンネルの名前は「貯留管」といいます。
通常、大雨が降ったときの雨水は側溝などを経て川へ流れますが雨量が多いと道路などにあふれることも…
こうした場合に備え整備されているのが貯留管です。
道路上などにある排水口から地下のトンネルに水が集まり、下流に流れるようになっています。
熊本市東区では去年11月に貯留管の工事に着手しました。熊本市東区桜木や花立などのエリアでたまった雨を地下で集め南の鶯川に排水します。管のすべての長さを合わせると1.8キロに及びます。
今回取材した貯留管は直径1.1メートルですが、場所によっては倍の直径2.2メートルの貯留管もあります。
Q全部でどれくらいの水を排水できるんですか?
■熊本市河川課雨水対策室・西章室長
「最大で毎秒約12トン弱ぐらいの雨を処理することができます」
毎秒12トンというのはお風呂に入るときに浴槽にためる水60回分です。
現在、東区の桜木・花立地区は1時間に25ミリほどの雨が降ると道路などに水があふれます。
貯留管が完成すれば1時間に60ミリの非常に激しい雨でも一帯の浸水を防げるということです。ただ、完成は2028年3月とまだ時間がかかるため、しばらくの間は浸水被害が起きやすい地域であることは変わりません。
■熊本市河川課雨水対策室・西章室長
「常日頃から市民の皆さんも大雨の情報ですとか、あるいは避難所の確認など、備えていただくことが大事かなというふうに考えている」
熊本市河川課によりますと、この貯留管は熊本市の市街地の地下に多く作られていて、今回私たちが潜入した熊本市東区桜木地区と上熊本駅周辺の2つの場所で現在、工事が進められています。
行政も奮闘していますが、私たち自身も大雨から命を守る行動をとらないといけませんよね。
今回一番お伝えしたいのは「水害は逃げるが勝ち」だということです。
熊本地方気象台が過去48年分の気象データを分析した結果、1時間50ミリを超える雨が降った時間帯が午前0時から朝8時の就寝時間帯に集中していることが分かりました。
2020年の熊本豪雨の時も亡くなった65人のうち38人は、自宅や施設の屋内で見つかりました。大雨の時は早めに逃げれば助かるのですが、避難をためらう人が多いんです。
大切な人と離れて暮らす人にぜひやってほしいのが「逃げなきゃコール」です。
防災や気象のアプリで連絡をしたい人が住む市町村を登録して防災情報をいち早く入手し、離れた場所から電話で避難を呼びかける取り組みです。
家族や大切な人からの声かけは行政やメディアからとは違う角度での呼びかけになるので避難を迷っている人の背中を押すことができますね。避難をするなら20日は、まさに今がタイミングです。役場でもらえるハザードマップなどで自分がいる地域にどんな危険があるかを確認して必要であれば安全な場所に避難してください。