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個人情報漏れの背景と対策は 学校現場の教育用クラウド

2025年3月6日 20:33
個人情報漏れの背景と対策は 学校現場の教育用クラウド

学校の現場では、教員や生徒がインターネット上で連絡事項や教材を共有する教育用クラウドの活用が進んでいます。

一方で今年度、県内では児童・生徒の個人情報が誤って掲載されるケースが相次ぎました。

運用のどこに課題があるのか、そして現場での対策について、助田記者が取材しました。

端末の誤操作や情報の誤認識が原因 教育用クラウドの情報漏れ


助田記者「中学1年生の英語の授業が行われています。先生と生徒は教育用のクラウドを活用しています」

富山市の堀川中学校では、1人1台のパソコン端末で英単語の学習を行っていました。この教材は教育用クラウドを使って教員から生徒に共有されています。

教育用クラウドとは、教員や生徒がインターネット上で連絡事項や教材などを共有するためのシステムです。

富山市では2021年度から本格的に、1人1台端末の導入と教育用クラウドを活用した授業を行っています。

堀川中学校 竹脇孝志校長「今はもう、なくてはならない教育ツール。調べ学習とかデータを使って学習したりですとか、非常に幅広く学ぶことができる。これがまず第一だと思いますね。教員としては、クラウドを介して情報共有をできる。また子どもたちに学習資料であるとか教材であるとか、そういったものを速やかに提供できる効果は大きいと思いますね」

一方で、教育用クラウドをめぐっては今年度、個人情報の漏えいが相次ぎました。

県立高校では、生徒の成績や入試に関する個人情報がクラウド上で漏えいする事案が3件発生。

また富山市内の小学校では、クラウドを利用して行った、いじめなどの学校生活に関するアンケートの結果が、一時的に他の児童にも閲覧可能な状態になっていました。

いずれのケースも意図的な漏えいではなく、端末の誤操作や情報の誤認識が原因でした。

教育現場で急速に進んだICTの活用。現場の教員は研修を重ねながら対応に努めてきましたが、堀川中学校でも、ICTを得意とする教員もいれば不得意な教員もいるのが現状です。

そのため得意な教員が中心となり、日常的に機器の操作や情報の取り扱いについて相談できる環境を整えています。

堀川中学校 竹脇孝志校長「学校で取り扱う子どもたちに関わる情報というのは、基本的にはすべてが個人情報であるという認識は、まず持たなければいけない。これは大前提だと思いますね。取り扱いにおいて不安なことがあれば、まずは同僚に相談をしてみる。それから必要に応じて管理職に相談をしてみる。着実に進めてきているこの歩みを、教育現場では絶対に止めてはならないと思います」

個人情報誤掲載を防ぐには


一方、県立高校を管轄する県教育委員会では、昨年度からシステム面で誤掲載を防ぐ工夫を進めています。

例えばテストの成績をまとめたファイルは、そのままでは簡単にクラウド上にアップロードされてしまいます。

しかし、タイトルに「機密2」と書かれたファイルだと…

県教育委員会教育企画課 小林匠課長「ファイルの頭に、機密2とか3とかとついているファイルについては、ブロックする仕組みを導入していて、アラートが出て教育用クラウド上には保存されないという形」

ファイル名に「機密2」または「機密3」と付けると、クラウド上に保存しようとしてもブロックされる仕組みです。

誤操作による情報漏えいの防止が期待されますが、まずはファイル名を正しく設定することが求められます。

県教育委員会教育企画課 小林匠課長「いわばインターネットの世界というか、要はクラウド上の世界なので、物理的な扉なり鍵なりそういうものが目に見える形ではないと思うので、そこはある程度一定のルールを守って使っていただく、その意識を持っていただくということが大事なのかなと思います」

子どもたちの個人情報の漏えい防止は教育現場における喫緊の課題で、教員がその意識を強く持つことが重要です。

最終更新日:2025年3月6日 20:33
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