北陸新幹線金沢開業10年 石川県は外国人観光客増加率日本一 互いに気持ちよく過ごすには…
「出発、進行!」
2015年、石川県民悲願の北陸新幹線開業。かつてないほどの観光客が一気に押し寄せ…
越崎 成人 キャスター:
「ずらーっと長蛇の列ができています」
金沢の観光地はどこへ行っても行列が… 新幹線は想定以上の経済効果をもたらしました。
今月で開業から10年。いま、急増しているのが…
外国人観光客:
「ドイツからきました」
「オーストラリアからきました」
外国人観光客です。去年の外国人の宿泊者数は、過去最多の227万人あまり。前の年の2.2倍と、その増加率は石川県が全国トップとなりました。
外国人に人気の観光スポットの1つ、近江町市場。新鮮な海の幸や市場の風情を味わえるとあって、この日も多くの外国人が…
浜焼きや、金沢おでんが楽しめる市場内のフードーコート。その看板は中国語、韓国語、スペイン語など6か国語で表記されていました。
飲食店従業員:
「外国人の方多いですね。ありがたいですね」
その一方で、困った問題も…
鮮魚店従業員:
「(外国人客が)増えてうれしい反面、文化の違いがあるので、触られたりとかっていうことがあるので、表示してわかってもらおうかなと」
こちらの鮮魚店では、商品を触ってしまう人がいるため、最近、こうした看板を設置したそうです。
さらに、週末の混雑時にみられるのが、ごみの捨て方に関するマナー違反だといいます。
近江町市場商店街振興組合・石山 博之 事務長:
「自販機の横に設置してある空き缶とかペットボトル専用のごみ箱になるんですけど、ここに空き缶でないもの、ペットボトルでないものを捨てられるケースがときどきみられます」
食べ終わったあとのごみは、買ったお店で捨ててもらうのが原則ですが…
近江町市場商店街振興組合・石山 博之 事務長:
「海外の方がわざとそうされていることはないと思うんですね、こちらの思いとかルールが十分に伝わっていないのかなと、それを組合としても市場としても改善していきたい」
今後も中心部の開発は続くのでしょうか。
エステック不動産投資顧問・武部 勝 社長:
「私はまだまだ伸びしろはあるというふうには思っております。特に金沢になりますと、武蔵、そして南町、香林坊から片町までというところの観光動線というか、宿泊者の動線が広がってきている。それはやっぱりリピーターが多くて、金沢に慣れてきている金沢ベテランが増えてきているということですね。そうすると、行動範囲が広くなってくるというところが今、ホテルを徐々に金沢駅から片町に向けて押し上げている要因かなというふうに思います」
実際に金沢市の繁華街、片町を訪れると…
竹内 彩乃 記者:
「片町のスクランブル交差点からほど近い、こちらの場所でホテルの建設が予定されています」
こちらには13階建てのホテルが2027年に開業予定。さらに金沢市高岡町では、閉店した料亭を改修し、食にこだわった高級旅館として再生。ことし夏に開業する予定です。
そしていま、ホテル以上の増加率なのが…
「よろしくお願いします」
外国人に人気のゲストハウスです。こちらは築150年以上の町家を改修。日本の暮らしが体験ができると人気を集めています。
ゲストハウスポンギー女将・西野 二以菜 さん:
「(宿泊客は)海外が8割で、国内2割ぐらいの割合になってます」
実は金沢市内では、こうしたゲストハウスなどの簡易宿所が、10年で15倍近く増加したのです。
あまりに急激に増えたため住民からはこんな声も寄せられたといいます。
金沢市保健所衛生指導課・友田 遥 さん:
「お隣の家がいきなり宿泊施設になって、全く知らない観光客の方がそこに泊まりに来るっていうのは、結構住民の方からしたらやっぱり不安という声はあります」
こうしたことから、金沢市ではことし1月から、簡易宿所の認証制度をスタート。連動式火災通報装置や録画機能付き監視カメラの設置、さらに地域との交流などより安心な環境を提供する宿に対し”お墨付き”を与え、市の観光公式サイトで紹介するというものです。
金沢市保健所衛生指導課・友田 遥 さん:
「宿泊者の方でも住民の方でも安心して過ごせるような、そういった施設を増やしたい」
その認証の第1号になったこのゲストハウスでは、ハード面だけでなく地域のイベントなどを通して、地元の人にもゲストハウスを知ってもらう取り組みを続けています。
ゲストハウスポンギー女将・西野 二以菜 さん:
「来られる方たちも過ごしていただく間は、この地域に溶け込んでいただきたいなというところがあって、そういうふうに地域の方との交流を大事にしています」
新幹線の開業から10年。金沢は国内だけでなく世界にその魅力が広がりつつあります。外国人と地元住民、お互いが気持よく過ごすために今後も継続した取り組みが必要です。