地震乗り越え 珠洲市・飯田高校 相撲の聖地「卯辰」の舞台へ
相撲場に入った無数のヒビ。それでもこの土俵に立てる喜びがありました。
高木 幹大 主将:
「自分にできることを今…できることをやろうと思ってしています」
珠洲市の飯田高校相撲部。
去年5月と、ことしの元日2度の大地震の影響で練習場所としている緑丘中学校の相撲場も大きな被害を受けました。それでも、卯辰の土俵を目指し先月には練習を再開。地元に元気を届けたいと意気込んでいます。
波佐谷 選手:
「家の片付けとかで重いもの持ったりして、練習っぽいことしてました」
2年生の波佐谷 兼諒 選手。
自宅は全壊判定を受け、現在も自衛隊の入浴支援を受けるなど、元の生活には程遠い状況が続いています。
波佐谷 選手:
「たくさんの人の支えによって今まで生きてこれたので、今回の大会でその人たちに感謝の気持ちを込めて相撲したいです」
体重は73キロとチームの中で一番軽いですが、相撲歴は最も長い11年。
団体戦で先鋒をつとめます。
波佐谷 選手:
「しっかりまわしを取って前に攻める相撲をしたいです」
そして、中堅は3年生 船橋 竜乃祐 選手。
船橋 選手 :
「そのまま一発で持っていかれる相撲じゃなくて、 見てて楽しいような相撲を取れるように頑張ろうと思っています」
船橋選手は去年の金沢大会で先鋒として出場。団体戦初勝利につながる白星を挙げていて、今大会も活躍が期待されます。
そんな船橋選手。高校3年生になり、気にかけているのは卒業後の「進路」です。
船橋 選手:
「大学行こうかなって思ってます」
夢は数学の教師。大学進学に伴い、生まれ育った珠洲からは離れることになりますが…。
船橋 選手:
「ちゃんと珠洲には貢献できるような大人になりたいなって思います」
そして最後は大将。去年に続き、主将の高木 幹太 選手が務めます。
高木 選手:
「決勝トーナメントに進めるように頑張りたいと思っています」
黙々と練習に励み、背中でチームを引っ張るキャプテンです。
高木 選手:
「しんどいです…」
練習、練習、ひたすら練習。
高木 選手:
「生きてたり、学校行けてる以上は自分のできることをちゃんとやっていきたいなという気持ちでやってます」
1年生の頃から毎年、金沢大会に出場するも、去年は勝利を挙げられず悔しい思いが残ったという高木選手。
ことしこそはと意気込む、最後の金沢大会でチームは開幕戦に出場することが決まりました。
高木 選手:
「緊張はもちろんすごいあるんですけど、なかなかトップバッターという場所はやりたくてもできない。自分たちができることを精一杯やってきたのでその結果を大会で出して、地域の皆さんに勇気とか希望を与えられるように頑張りたいと思います」
深見 宣夫 監督:
「体は小さいですけど、ぶつかって勝ち進んでいってほしい。気持ちで。最後は気持ちだと思うので。色んな思いを乗せて相撲取ってほしい」
珠洲のために。能登のために。過去に5度の栄光をつかんだ古豪は今できる全力を尽くし、3日後、卯辰山の舞台に立ちます。