【"揺れたら高台へ"「東日本大震災」以降叫ばれた意識浸透するも…】揺れ・津波・液状化の複合災害で逃げられない<能登半島地震が浮き彫りにした課題とは>
柳瀬キャスターリポート
「津波の被害が大きかった能登町白丸地区に来ています。
船や車が砂に埋まっているし、住宅は引き波でしょうか、海の方に引きずり出されてしまっています。
東日本大震災直後に沿岸部を歩いてみた被害と酷似しているように感じます」
海から30メートルほどの位置にある白い平屋、 宮本千鶴雄さんの住宅だ。
柳瀬キャスター「これはたいへんですね」
宮本さん「これでも少しは片付いたんですけどね」
宮本さんは近くの避難所で生活しながら、片付けのために自宅に通う毎日だ。
柳瀬キャスター「器は全部…これは地震の揺れですか」
宮本さん「いや津波です」
柳瀬キャスター「津波ですか。津波の高さはどれくらいまで来ましたか」
宮本さん「私のみぞおちくらいですね」
柳瀬キャスター「この辺に跡が…ここまで来たんですね」
地震発生後、宮本さんは同居していた高齢の母親を連れて、すぐさま高台を目指した。
宮本さん
「大きな地震が来たら津波がくるものだと思って誰を差し置いても逃げなきゃいけないと。で、ここから上がった」
避難した高台から見えた故郷は、すでに津波にのまれていたという。
宮本さん「うわぁ、これはえらいことになったなと、それしかないですね」
柳瀬キャスター「東日本大震災の教訓がどの程度知られていて生かされたのか知りたくて…」
宮本さん「私は生きましたね、 結果的には。何とかして逃げておかなきゃいけないと思ったのは間違いないです」
能登半島の先端が震源となった今回の地震。
東北大学・災害科学国際研究所の解析によると、海底の活断層に沿って発生した津波は半島を回り込み、能登町や珠洲市など、特に半島の東側に大きな被害をもたらした。
津波工学の第一人者・東北大学の今村文彦教授はこう分析している。