「一度かかっても、インフルは4種類ある・・」感染症の専門家に聞く インフルエンザの対処法《長崎》
全国的にインフルエンザの感染者が急増する中、感染症の専門家として知られる長崎大学医学部の森内浩幸教授に長崎県内の流行状況や医療提供体制について話を聞きました。
長崎大学医学部 森内浩幸教授
「まだまだこれからピークを駆け上っていくのではないか」
まだ感染拡大が続くと指摘する森内浩幸教授。インフルエンザ感染拡大の理由として集団免疫の低下を挙げています。
長崎大学医学部 森内浩幸教授
「枯れ木ばかりあるような山で火の手が上がると一気に広がって いくが、生木がいっぱいあると、そう簡単には広がっていかない。 生木というのが免疫を持っている人たちということ。ところが数年間もインフルエンザが流行しなかったために免疫が薄れてしまった人たちがいっぱいいる。そういう中で火の手が上がると一気に広がりやすくなる」
急激な感染拡大で、県内の医療機関や薬局では飲み薬の不足が問題に。子ども用の粉薬の代わりに大人用のカプセル薬の中身を取り出して対応することもあるといいます。さらに、医療体制のひっ迫についても危惧しています。
長崎大学医学部 森内浩幸教授
「一気にピークが高くなる最大の弊害は医療のキャパシティを超えてしまうことになりかねないということ。そうすると人手も薬も足りないという中で、本当にすぐに対応しないといけないような重症患者にすぐに対応することができなくなるおそれがある」
救急搬送の現場ではすでにその影響が出ています。長崎市消防局によりますと今年の救急出動件数は11月末時点でおよそ2万6400件。このうち、3738件が自宅での経過観察や不安解消などで搬送には至りませんでした。
この「搬送に至らなかったケース」は、コロナ禍を含めて過去最多だった去年の3727件をすでに上回っています。理由は、発熱や風邪などの症状を訴える通報の増加です。
長崎大学医学部 森内浩幸教授
「熱があって咳があってもご本人が比較的元気で、特に普段の風邪の時と大きな変化がない時には慌てる必要は全くない。 うちでゆっくり休んでる方が体力を温存して病気を早く治すことに繋がる」
森内教授は、症状を踏まえた冷静な判断やマスク着用、室内の換気といった感染対策のほか、重症化予防のため、ワクチン接種を推奨しています。
長崎大学医学部 森内浩幸教授
「きちんとワクチンを打つことによって免疫をつけること(が重要)。よりかかりにくくなるし、命に関わ るような重症化をかなりおさえる効果が期待されている。もうすでにかかったという人でもインフルエンザはA型が2種類、 B型が2種類ある。ワクチンは この4種類全部に対するワクチンなので、そのうちどれかにすでにかかったとしても、残った型に今からかかる可能性はある。 今からでも特にリスクの高い人たちは接種をしてほしい」