最先端技術を磨き継承して未来へ 「国内ナンバー1」「国内唯一」県内製造業の希望と課題《長崎》
県内には 製造業で国内ナンバーワン、オンリーワンの企業があります。
一方で人材確保などの課題も。
「ものづくり」の魅力と最先端の技術に迫ります。
▼直近3年間入社の離職率 0%のワケ
佐世保市小佐々町の製造業「九州テン」で働く林 祐亮さん23歳。
工業高校を卒業後、地元で就職したいと5年前に入社しました。
(九州テン 林 祐亮さん)
「自分が勉強したことを使えるということもあるが、新しい知識を教えてもらえたりというので、すごく楽しい仕事」
1967年創業の「九州テン」。
2017年に工業団地「ウエストテクノ佐世保」に本店工場を建設し、無線・通信機器などを製造しています。
(九州テン 林 祐亮さん)
「防災無線の子局の音声出力の調整を行った」
林さんは入社した時から、自治体の防災無線の装置の製造に携わっています。
(九州テン 林 祐亮さん)
「市町村防災無線は災害時に役立つものなので、自分が作っているものが人の役に立つことが一番のやりがい」
林さんと同期入社の丸田 智奈さん。
商業高校出身の23歳で、ものづくりが好きだったことから、この仕事に就きました。
(九州テン 丸田 智奈さん)
「初めてする作業や業務は先輩社員が協力してくれて、わからないことがあっても、すぐに対応して教えてくれるので、すごく働きやすい環境」
会社の敷地内には、フットサルやバスケットのコートもあり、社員同士の交流も活発です。
また、勤務中の服装を自由にしたり、休暇制度を充実させるなどの取り組みを推進。
直近3年間に入社した人の離職率は、0パーセントです。
▼長崎県の製造業 コロナ禍で減った従業員が戻ってこない
県によりますと、県内の製造業の事業所数は、減少傾向にあるものの、出荷額はコロナ禍前まではほぼ横ばいを保っています。
一方で課題も多く、その最も大きなものが。
(佐世保工業会 阿比留 宏 会長)
「コロナで従業員が減ってしまったということ。そして従業員が戻ってこない。一番の変化は採用が難しくなっていること、どこの企業をまわっても採用ができないと、いの一番に言われる」
高校新卒者に対し、製造業から県内のハローワークに出された求人数は1000人あまり。
しかし、内定者は、その3分の1程度の371人となっています。
企業の活性化などを目指す佐世保工業会では、合同での内定式や高校生、大学生に向けたインターンシップ、見学ツアーなどを企画して人材の確保に努めています。
(佐世保工業会 阿比留 宏 会長)
「県内には非常に優秀な企業やユニークな企業が多々あるが、これがなかなか認知されていない。こういう素晴らしい企業があるということを広めていきたい、認知してもらいたいと思っている」
▼「小さなまちで大きなものを」 国内ナンバー1や国内唯一の県内企業
県内には、国内ナンバーワン、オンリーワンの企業も。
佐世保市世知原町の「八天工業」は、交通インフラ設備を製造する会社です。
(八天工業 佐別當 法時工場長)
「今ここに並んでいるのは、すべてベルトコンベヤーの部品」
トンネル工事の掘削で出た土砂を搬出する「連続ベルトコンベヤー」は、最長で9キロまで対応。
さらに、工事現場に重機などを搬入・搬出する「インクライン」や「リフト」は最大100トンまで積載可能です。
(八天工業 佐別當 法時工場長)
「この分野における設備に対しては、ファーストコールカンパニー(真っ先に声がかかる会社)で、ほぼ8~9割はうちの会社でつくっている。その設備に関してはトップをつくっている会社」
設備は、西九州新幹線や北海道新幹線、西九州自動車道などのトンネル工事で使われています。
八天工業の従業員は70人。その9割以上が、地元の出身です。
(八天工業 佐別當 法時工場長)
「未来に残せるトンネルや、道路をつくれる設備に携われる機会をつくっていこうというのがこだわり。こういう小さな町でも大きなものをつくれるんだというのは見てほしい」
▼新たな製品をつくって地域貢献を
一方、今年10周年を迎える「シーヴイテック九州」がつくるのは・・・。
(シーヴイテック九州 平松 健児GM)
「上にあるのがCVTの金属ベルト。このベルトはエレメントとリングの2つの部品から構成されている」
自動車のエンジンに搭載される無段変速機「CVT」の主要部品の1つ、金属ベルト。
シーヴイテック九州を含めたグループ、3つの拠点で生産されています。
(シーヴイテック九州 平松 健児GM)
「弊社は、CVTの変速機を国内で唯一製造販売しているメーカー。CVT車両の世界シェアのうち、4分の1を占めている」
変速ギヤを使わずに、摩擦力で無段階に変速できるトランスミッションで、燃費や加速性に優れ、自動車のスムーズな走りにつながります。
工場の拡張を経て、現在は年間150万本を生産。主にトヨタやダイハツに向けて出荷しています。
(シーヴイテック九州 平松 健児GM)
「ミクロン単位での品質管理を徹底することで、高い品質のものづくりをやっている。この培ってきた技術を生かして、新たな製品をつくって地域に貢献していけたら」
魅力ある製品を生み出す県内企業。
技術を磨いて継承し、未来へ。
ナンバーワン、オンリーワンのものづくりで全国、そして世界へと届けます。