原告「こうなったら命がけ」被爆体験者訴訟 県と長崎市が控訴し原告も控訴 裁判の舞台は福岡高裁へ《長崎》
被爆体験者の一部を被爆者と認めた長崎地裁の判決について、県と長崎市は24日、控訴の手続きをとったことを明らかにし、大石知事と鈴木市長が原告に謝罪しました。
原告側も一審で敗訴した28人が24日、控訴しました。
(大石知事)
「控訴断念という形にならなかったことに対しては、心から申し訳ない」
(鈴木長崎市長)
「みなさんのお気持ちを考えると、本当に申し訳ない気持ちでいっぱい」
大石知事と鈴木市長は被爆体験者らと面会し、控訴について謝罪したうえで、経緯などを説明しました。
これに対し、被爆体験者は「控訴を取り下げてほしい」と切実に訴えました。
(原告団長 岩永 千代子さん(88))
「人間が持っている言葉は生きている。(控訴を)取り下げるということになるのではないかと 私は信じている。決して私たちは、捨てられていないと思っている」
(原告 山内 武さん(81))
「どうして国の言いなりになるのか。控訴を取り下げていただきたい。たった今、電話でもしてもらいたい」
国が定める被爆地域の外で原爆にあった「被爆体験者」ら44人が、被爆者健康手帳の交付を求めた裁判では、長崎地裁が9日、一部の地域にいた原告15人を被爆者と認める判決を出しました。
岸田総理は、被爆体験者への医療費の助成対象を全員に拡大するとした一方で、判決については、被爆体験者の敗訴が確定した以前の最高裁判決と「判断が異なる」として「控訴せざるを得ない」と表明。
これを受け、県と長崎市は控訴を決断しました。
そして、午後3時すぎ。
被爆体験者らが、長崎地裁に原告28人の控訴状を提出しました。
(原告団長 岩永 千代子さん(88))
「こうなったら命がけ。とにかくやれるところまでやりましょう」
被爆者認定をめぐる裁判は今後、福岡高裁に舞台を移し、争われます。