わずか3日で公開中止となった鳥取城跡のPRキャラクター「かつ江さん」 10年の時を経て1通の手紙を公開 今、伝えたいこととは? 鳥取県鳥取市
鳥取市にある鳥取城跡をPRするために10年前にデザインされた、あるキャラクターから届いた1通の手紙。10年の時を経て、今伝えたいこととはー。
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7月に開設されたあるSNSアカウント。中には、1枚の手紙が投稿されています。
~かつ江さんからの手紙~
「皆さま 大変ご無沙汰しております。かつ江です」
かつて、鳥取城跡の公式マスコットキャラクターだった「かつ江さん」。10年前の7月、鳥取市による鳥取城跡PRのために公募で選出。現在も鳥取市教育委員会が著作権を持っており、ある理由から使用許可がおりませんでした。
鳥取城は1581年、織田信長の家臣であった羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)によって兵糧攻めにあい、大勢の人が餓死した歴史があります。かつ江さんは、兵糧攻めの時代を過ごした庶民のキャラクターとしてデザインされました。しかしー。
鳥取市 深澤義彦 市長
「何かしら不快感をお持ちになられた方が現実にいらっしゃるということであれば、そういうあたりについて何かしらの配慮は必要ではないかなと」
好意的な意見があった一方、その見た目や、「貧困を茶化しているのではないか」などの意見もあり、わずか3日で公開中止、現在も公開されていません。
そんなかつ江さんから届いた10年ぶりの手紙。
~かつ江さんからの手紙~
「この10年の間には、信長さんが亡くなり、秀吉さんが天下統一を果たそうとしているみたいだけど、わたしたちの生活は何も変わりません」「自分たちが生きていくだけで精いっぱい、もう戦はこりごりです」
これは、兵糧攻めから解放され、10年が経った当時のかつ江さんから贈られた手紙です。今回の手紙を書いた理由をかつ江さん生みの親の男性に聞きました。
かつ江さん 生みの親
「まずお世話になった人に、元気で10年後もそれなりに幸せに生活していますってことがまずこの手紙で一番伝えたいことだと思うので。かつ江さんが兵糧攻めを経験したから小さな幸せをより敏感に感じ取れていることはあるかもしれないですし、自分たちも小さな幸せを日々感じながら、それを励みに日々生活していくことは同じような感覚なのかなと思います」
~かつ江さんからの手紙~
「いまは畑仕事を手伝えるくらい大きくなった子供の成長と近所の人たちとの他愛ない日常がわたしの幸せです」
苦しい時代を過ごしたからこそ感じる、日常の中にある幸せ。SNSには、兵糧攻めから10年後のかつ江さんの姿も投稿。今回は生成AIを活用し、デザインしたと言います。かつ江さんを通して、伝えたいこととはー。
かつ江さん 生みの親
「もっといろんなそれぞれの方が思う『かつ江さん』っていうのがあってもいいんじゃないかと思ってます。特に小学生はじめ小さな子供たちが、かつ江さんっていうキャラクターをきっかけに、地元の郷土の歴史を学ぶきっかけになってもらえたら自分としては一番うれしい」
かつ江さんを通して学ぶ、郷土の歴史、そして庶民の生活。未来につなげていくための手紙なのかもしれません。