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【読み解く】まもなく梅雨入り いざという時に土砂災害の被害にあわないためにできる事とは?

2024年6月13日 16:58
【読み解く】まもなく梅雨入り いざという時に土砂災害の被害にあわないためにできる事とは?

これから大雨に見舞われやすい時期を迎えます。それと共に危険が高まるのが土砂災害です。

全国で発生した土砂災害の件数を月ごとに示したグラフです(2018~2023年のうち最大となった年の件数)。梅雨や台風シーズンの6月から10月の間に、土砂災害が集中していることが分かります。

特に突出している7月は、2018年に西日本豪雨があったためで、1か月で2600件発生しました。また、台風シーズンの終盤・10月も発生が多かった年があり、6~10月の5か月間は特に注意が必要です。

去年は大雨によって、山陰でも大きな被害が出ました。7月には、島根県で「線状降水帯」が発生。大田市では住宅の駐車場の裏山で土砂崩れが起き、停めてあった車2台が被害に遭いました。けが人はいませんでしたが、水道管が破裂し一時84戸が断水しました。

また、翌8月には、台風7号の影響で今度は鳥取県に「線状降水帯」が発生。鳥取市を中心に各地で土砂崩れが起き、道路の通行止めが相次ぎました。

■ 雨の時期に入る前に やるべきことは?

今の時期からできる対策について、鳥取県の防災顧問で土砂災害を研究している、鳥取大学の中村公一准教授に聞きました。

鳥取大学工学部 中村公一 准教授
「ハザードマップを確認していただくのと、あとは避難経路ですね。雨の時期だと、避難する途中に橋があって増水していて通れなくなるということもありますので、避難経路をちゃんと確認しておきましょう」

いざという時に備えたシミュレーションに加えて、こんなこともー。

鳥取大学工学部 中村公一 准教授
「側溝の掃除などですね。側溝は雨が降ったときに安全に水を流してあげる機能を持たせているものではありますけれど、それが詰まっていたりすると思わぬところで水があふれて、思わぬところに水が集まって、そこが斜面だったりすると、斜面が崩れて、どなたかに被害を与えてしまうかもしれません」

■ 大雨が予想される時は

大雨の恐れがある時は、早めの行動が大切です。

鳥取大学工学部 中村公一 准教授
「(避難情報などは)皆さんが寝てしまう前に発表されるので、安全そうに見える時に発表されることになります。危険度のレベルが高ければ、安全そうなのにも関わらず『早く避難してください』ということになりますけれども、やはり雨雲が近づいて雨が降るかもという時には、特にハザードマップで危険地域内の方は土砂災害警戒情報に注意していただいて、必要があれば事前に避難していただければと思います」

また、中村さんは「地震による土砂災害と違って、大雨による土砂災害は事前に情報が発表されて、備える時間がある」と話していました。

大切なのは、各地の気象台や自治体からの情報を逃さず、早めに避難すること。

大雨災害の場合は、気象庁が提供している「キキクル」などが有効です。

・土砂災害の危険度を示す「土砂キキクル」
・浸水害の危険度を示す「浸水キキクル」
・河川の危険度を示す「洪水キキクル」
この3種類があって、気象庁のHPで確認できます。

・黄は 「注意」
・赤は 避難に時間がかかる高齢者などの避難の目安となる「警戒」
・紫は 避難指示相当の「危険」
・黒は 既に災害が発生していると考えられる「災害切迫」

「家の周りが赤色になったら避難しよう」など、あらかじめ避難の目安を決めておくことが大切です。

自分の住んでいる場所がどのような地域なのかを確認してもらおうと、鳥取県では去年、楽しみながらハザードマップを確認できるウェブページが登場しました。山に向かってカメラをかざすと、赤や黄色の表示が。拡張現実・ARの技術を使い、周囲の土砂災害のレベルを確認できる機能、その名も「ARみえるでござる」です。

鳥取県 県土整備部治山砂防課 田村英之 係長
「黄色が土砂災害警戒区域、赤色が土砂災害特別警戒区域になります。土砂災害特別警戒区域は、土砂災害が起こった場合に、体や命に重大な危害が加わる恐れのある場所となります」

開発の背景には、ハザードマップに気軽に触れてほしいという思いがありました。

鳥取県 県土整備部治山砂防課 田村英之 係長
「ARを使っていただくことで、視覚的に幅広い年代の方にも確認していただけると思い、開発しました。大雨があった時にどこにいるかで避難の行動は変わってきますので、自宅や学校、職場の周りなど、普段生活で使われる場所を一度確認していただけばと思います」

このウェブサービスは、鳥取県県土整備部治山砂防課のホームページから、または「みえるでござる」で検索することでアクセスすることができます。

自分の生活する地域がどうなっているのかの確認、また、避難する時に持っていく防災バッグの中身の点検など、雨の時期を迎える前の今から備えておきましょう。