「愛していただけるようなお酒を…」再起かけ原点の地で再出発 県内最古の酒蔵で本格的な仕込み作業始まる 青森県板柳町
特集は地元の板柳町で再出発した県内最古の酒蔵です。
移転を乗り越え、地域に愛される「伝統的酒造り」に取り組みます。
板柳町の竹浪酒造店は江戸時代初期、1645年創業の県内最古の酒蔵です。
400年近くに渡って地元に親しまれてきた老舗ですが、経営上の都合で2019年からつがる市に移転。
およそ5年、新天地でも地元の人に支えられてきましたが…。
★竹浪酒造店 杜氏 竹浪令晃さん
「創業以来ずっとここでしたし、私自身も生まれてからずっと板柳町なので」
17代目蔵元で杜氏の竹浪令晃さんは、慣れ親しんだ板柳町の土地ともとの酒蔵への強い思いから、原点の地で再出発を決意。
築100年以上という酒蔵は老朽化が進んでいましたが、改修工事を終えて先月ついに本格的な仕込み作業が始まりました。
竹浪さんが指揮を執りまず取りかかったのは、清酒造りに欠かせない酒母造りです。
新しく整備した大きな釜を使って「秋田酒こまち」を100度の高温で1時間ほど蒸していきます。
この日は3人の従業員と作業を行いました。
これまでつがる市の酒蔵でいっしょに酒造りをしてきましたが、ここでの作業ははじめてです。
★従業員 沢田夏歩さん
「つがる市で本当に周りの方によくしていただいて支えられてお酒造りをすることができました」
「愛していただけるようなお酒を造れるように頑張っていきたいと思います」
つがる市での経験も財産に、たくさんの人に愛される日本酒造りをめざします。
地元での再出発に、杜氏の父で16代目蔵元の司晃さんの思いもひとしおです。
★16代目蔵元 竹浪司晃さん
「竹浪の工場に住んでいる『家付き酵母』というのは、やっぱりお客さんに愛される味になっているんじゃないかなと、また板柳で酒造りを再開できたことはわれわれも喜んでいます」
現在、竹浪酒造の商品は県内各地の酒店で販売されています。
地元の人に長く愛されてきた竹浪酒造の日本酒は、板柳町内の「坂本商店」ではいまでも主力商品です。
★坂本商店 坂本全広代表
「私が小さいころ父親の代からずっとファンの多いお酒ですので、地元の根強いファンの方に支えられていると思います」
代表銘柄「岩木正宗」や「七郎兵衛」をはじめ、酒本来のうまみを強く感じられる“かん酒”が竹浪酒造の売りです。
★竹浪酒造店 杜氏 竹浪令晃さん
「(かん酒の)1番良いところは温めた方が感じられる 味がたくさんあるので料理にひじょうに合わせやすいところ」
元の酒蔵に戻って始まった、再起をかけた本格的な仕込み作業。
★竹浪酒造店 杜氏 竹浪令晃さん
「いつも通りというか思ったよりスムーズにできたんじゃないですか」
最初の工程は無事に終わりひと安心です。
日本の「伝統的な酒造り」は去年ユネスコの無形文化遺産に登録されたばかり。
竹浪さんはこの再出発を絶好のタイミングと捉えています。
★竹浪酒造店 杜氏 竹浪令晃さん
「日本酒業界は有名な大きいところはみなさんご存じだと思うんですけど、全国各地うちも含めて小さい蔵がいっぱいあってそれぞれのお酒を作っているので、そういうところにも目を向けてもらえれば、この先日本酒業界がもっと盛り上がっていけるのではないかと思っています」
地元での本格的な再起に乗り出した県内最古の酒蔵、竹浪酒造。
仕込んでいる清酒は6月ごろに出荷予定です。