いま、ちょっと憂鬱なあなたへ…トーキョーコーヒー運営、元不登校のさっちゃんが伝えたいこと
こちらは、内閣府が独自に集計した18歳以下の自殺者数を日にち別に示したグラフです。
1年間の中で突出して多いこの日が、2学期が始まる9月1日です。
児童や生徒に大きなプレッシャーや精神的な動揺が生じやすいという、夏休み明け。
いま、ちょっと憂鬱なあなたに聞いてほしい言葉があります。
美しい緑に透き通った川。たくさんの自然に囲まれた場所で「トーキョーコーヒー伊予」を運営する、“さっちゃん”こと太田聡美さんです。
この日は、訪れた子どもたちと一緒に肉じゃがと炊き込みご飯を作っていました。
「登校拒否」という言葉を入れ替えた、「トーキョーコーヒー」は、全国に360あまりを数える“不登校の親子の居場所”。
さっちゃんは去年2月、愛媛では初めてとなる拠点を伊予市に構えました。
太田さん:
「突然、朝体が動かなくなって。当時は原因が全くわからなくて」
さっちゃん自身も中学2年生の夏休み明けから不登校になった経験を持っています。20年ほど経った今も、はっきりとした原因はわかりません。
太田さん:
「(学校に)行きたいけど行けないっていうすごいもどかしさを感じていた」
母・こずえさん:
「まさか自分の子が(学校に)行けないと思わなくて『なんでやろう?』『なんで学校に行くことができないのやろうか』と思ってそこで私もパニック(になった)」
母のこずえさん。さっちゃんを学校に連れて行こうと試みていた、ある日…
母・こずえさん:
「学校の近くまで行ったら足が止まって『お母さん、刑務所に行きよるみたい』って言われてそのときにハッとしたんです。“そんなに辛い、怖いところに行きよる気持ちになってるのかな”と」
「学校に行かなくてもいい」。これが、2人がたどり着いた結論でした。
太田さん:
「すごく気持ちが楽になってそこから少しずつ前向きに考えることができるようになった」
17歳の時、ニュージーランドでひとり旅をするなど、「学校」という場所から解放され、“本当の自分を取り戻した”と話すさっちゃん。
週に一度、この場所に不登校の子どもたちを迎え入れています。
母・こずえさん:
Q.現在の娘の姿を見て
「イキイキしていて不登校だった時代にこんなときが来るとは思ってもなかった」
太田さん:
「ここに来てちょっとのんびり過ごして自分自身を見つめなおしたり、自分だけの時間を取り戻してもらえるような環境をつくりたい」
先月、松山市で不登校の子どもをもつ保護者に向けたトークイベントが開催されました。仕掛け人はさっちゃん、初めての試みです。
太田さん:
「“保護者の孤立をゼロにしたい”というところが大きな目的・目標としてあってそのために必要なのは“(保護者同士の)繋がり”」
不登校になった子どもとどう接すればいいのか。保護者にとって大きな悩みです。
参加者:
「小学校4年生の娘が2年生の2学期から行き渋りが始まった」
参加者を前に話すのは、共に活動するパパとママたち。現在もそれぞれの家庭で、不登校の我が子と向き合っています。
参加者たち:
「『きのう(学校に)行くって言ったやん。なんできょうも休むん?』みたいな。ふつふつとイライラが子どもに向くようになって」
「子どもとの接し方を変えていったところ、本当に驚くほど彼の成長する姿が目の前で見えてきたときに本当に嬉しくて“これでよかったんだ!”と」
この日は交流会も開かれ、保護者同士がそれぞれの悩みについてアドバイスをしあいました。
参加者たち:
「気持ちが軽くなるというか『どうしよう、どうなるんやろう』ということばかり考えていたのが、自分のことを聞いてもらえたりみんなのことを聞いたりしてちょっと楽になったというのがあります」
「なかなか繋がるところが身近になかったりするので、やっぱり皆さん同じようなことを考えたり悩んだりしていてすごく共感できる部分が多くて」
いま、さっちゃんが伝えたい言葉。
太田さん:
「不登校でも、いいやん。不登校でも、大丈夫。生きていてくれて、ありがとう。」
「しんどくて逃げたくなるときは逃げてもいいし、逃げる先にトーキョーコーヒーのような場所もあるから、無理せず自分のために体と心を休めてほしいなと思います。学校に行けなくても他にもたくさん道はあるから一緒に考えていけたら嬉しい」
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