四国最大「50万都市」の松山 “平成の大合併”以降初めて人口が50万人下回る
「49万9326」これは、愛媛県松山市の先月の推計人口です。きょう、2005年の平成の大合併以降初めて「50万人」を下回ったことが分かりました。
松山市は、直近の国勢調査の結果をもとに出生、死亡、転出入などを計算して、毎月、前の月の推計人口を公表しています。
きょう、松山市の3月の推計人口が公表され、男性が23万4388人、女性が26万4938人の、あわせて49万9326人。2月から1500人余り減少し、平成の大合併以降初めて50万人を下回りました。
松山市民の女性:
「あら~そういう日が来るんじゃないかとは前から心配してました。少子化、少子化って何年も前から言ってるでしょ」
松山市民の男性:
「びっくりしましたね。僕もこどもおるんですけど、あんまいい環境やない。もっとその辺改善してくれたら いいなとは思いますね。やっぱり育てにくいですよね。 習い事とか4か月に1回の子ども手当でも、少ないんですよほんと…」
松山市の人口は、52年前の1972年以降、増加を続け、2005年には旧北条市・旧中島町と合併し四国で初めて人口が50万人を超えました。
合併の5年後、2010年の人口は過去最多の51万7400人余りとなりました。
全国的にみると、兵庫県の姫路市や栃木県宇都宮市などが松山市の人口に近い規模で、松山市の人口は、全国2200あまりある市区町村のうち35番目に多くなっています。
しかし、2010年以降減少傾向となり、合併以降初めて50万人を下回ったのです。
主な要因は、全国的に、出生数が死亡者数よりも少ないいわゆる「自然減」です。
松山市だけでなく愛媛全体でも減少している状況で、愛媛県は、このまま新たな取り組みをしなかった場合、36年後の2060年、県全体の人口は現在の6割程度78万人に、松山市は36万人あまりに減少すると予測しています。
いよぎん地域経済研究センターの福田研究員は、人口減少によって「経済成長が伸び悩む可能性が出てくる」として、次のように指摘しています。
いよぎん地域経済研究センター 福田泰三主席研究員:
「“定住人口”その場所に住んでいる人、1人当たりの消費額が大体年間で127万円と言われてます。松山市の場合、ここ2~3年、年間で2~3000人人口が減っているので、消費額に直すと25億~38億円くらいの消費が減少している」
こうした、経済の縮小を食い止めるためにも福田さんは、「人口を増やす」対策と並行して、雇用や観光の促進などの『縮小経済』対策も考えるべきだと話します。
福田さん:
「DX、デジタル化の推進で生産性を上げていったり、人が少なくても生産を維持できる体制を作っていくところがひとつ考えられるところかなと。外国人の観光客が消費する金額は、1人当たり大体15万円くらい。インバウンド8人呼び込むことによって、人口1人減る分の消費額をカバーできるという建付け上の計算になっている。ですから外国人観光客をどんどん受け入れて、お金を落としてもらうことによって、 ある程度経済は回っていく可能性は考えられるかなと思う」
ただし、全国すべての自治体が減っているわけではありません。
“人口が増加した”全国の市と区のランキング。1位は福岡市で、一年間で1万3000人あまり増加しています。
要因は様々ですが、福岡市によると、ビジネス環境を整えることで企業誘致を進め、立地企業や雇用者が増えていることや九州や山口を中心とした福岡県以外から若い世代の人口流入が増えていることがあげられています。
福岡市の人口は今後も増加し、2035年頃にピークを迎える見込みだということです。
人口が50万人を切ったことについて松山市は「市内の人口が2020年以降の5年間で50万人を下回ることは予想していたけれどそれが現実となった。これまで移住ツアーや就職支援などの取り組みを行ってきたが今後も、人口減少対策に重点的に取り組んでいきたい」としています。