“車いす観光”に密着…観光地・小樽でバリアフリー観光…実は大きい「支援する側の実り」
車いすに乗る人たちが、小樽市内を観光するイベントが開かれました。
体が不自由な人が旅を楽しむためにはどのような課題があり、そしてどのようなサポートが必要なのでしょうか。
北海道を代表する観光地・小樽。
このマチを車いすでめぐる人たち…
7月に開催された旅行イベント「バリアフリー観光」です。
(参加者)「もう決まりました。大好きな色です」
浴衣を着る体験など、1日かけて市内を観光。
障害があり車いすに乗る人や看護師など10人が参加しました。
父親と参加した札幌市のひろとさん21歳です。
脊髄髄膜瘤という病気で立つことができません。
(店員)「痛いところはないですか?」
(ひろとさん)「大丈夫です」
ひろとさんにとって浴衣を着るのは初めての体験。
車いすで外を移動する機会がほとんどなかったからです。
(ひろとさんの父親)「ちょっと段差があると乗るのに時間がかかる。車いすだと行けるところが制限されるので、いろいろなところに行けるのはいいと思う」
様々な観光名所がある小樽ですが、段差や坂道が多いため、車いすの人にとって大きな負担となります。
今回のイベントでは看護師やヘルパーがサポートしています。
障害があっても旅を楽しんでもらうことが狙いです。
(人力車のスタッフ)「どのあたりまでサポートするのがベストですか?」
(参加者)「お姫さま抱っこで」
(人力車のスタッフ)「そのままでいいですか?ちょっと汗っぽいですけど」
地元の事業者も協力することで、本人や家族だけでは叶えることが難しかった人力車に乗ることなどにも挑戦できました。
さらに、こんな心遣いも…
(ひろとさん)「誰?お父さんの代わり?」
(参加者)「お父さん疲れるから交代しようかなと思って」
慣れない移動で疲れがたまっていたひろとさんの父親に代わり、参加者の男性が車いすを押します。
障害がある人や家族が旅先でどんなサポートを求めているのか、関わり合いながら知る。
今回のイベントは支援する側にとっても実りのある経験に繋がっています。
(主催者 サポートナースフェアネス 大山尚美さん)「環境だけでは整えられないものがあるので、人の手が必要なので、それをどう関わったらいいかみなさん知る機会になればいいなと思う」
この日、最後に体験したのは、ひろとさんが一番楽しみにしていた観光船です。
(ひろとさん)「泳いでいる感じが気持ちいい」
(ひろとさんの父親)「きょう楽しかった?」
(ひろとさん)「うん」
体が不自由でも旅を諦めないために…
経験する機会と周りの支えが“バリアフリー”な環境づくりにつながっています。