「こんな病気が近くにあっていいのか」致死率30%・マダニが媒介するSFTSは身近な草むらで罹患の恐れ
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春先から秋にかけて活動が活発になるマダニ。
SFTS (重症熱性血小板減少症候群)は、ウイルスを持ったマダニに噛まれることで感染し最悪の場合死に至る病気です。
発熱や吐き気、意識障害などの症状が出て、その致死率はおよそ30%に上ります。
感染経路は、マダニから人、動物から人、最近では人から人への感染も確認されていて、県内の累計の感染者数は113人と、全国で最も多くなっています。
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- 【話:宮崎大学産業動物防疫リサーチセンター 岡林環樹副センター長】
非常に新しい病気で、日本では2013年に初めての事例が報告されたウイルスです。
感染症法の中におきましても今コロナが5類ですが、それよりも1ランク上の4類感染症に指定されています。約30%の致死率で本当にこんな病気がこの近くにあっていいのかなというような非常に恐怖を感じます。
ペットへの感染が急増
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2017年は猫2匹のみ陽性だったのが、昨年度は猫23匹、犬2匹と全国的にも増えました。
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実際どのくらいマダニが身近に潜んでいるのか、草むらを30分間調査してみると、30分で21匹取れました。
身近な場所にこれだけ多くのマダニが潜んでいることを知っておく必要があります。
飼い猫が SFTSに感染した事例
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今年3月SFTSで猫を亡くした女性の話によると、飼い猫が全く動かずご飯も食べない状態が1週間続き、獣医師に診てもらったところ「重症で助からない」と言われたといいます。
このとき猫2匹がSFTSに感染していて、1匹はぐったりした状態だったといいます。
現在、人も動物もSFTSの治療法は確立されていません。
女性は自らの感染にも注意しながら猫を自宅で隔離し最期の時まで見守ることしかできませんでした。
一命を取り留めたもう1匹の猫は回復し元気に暮らしているということです。
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SFTS の治療で猫から感染し生死をさまよった獣医師もいるなど、獣医師への感染リスクも伴います。
そのため治療に制限があり 救えないことが多いため、日頃の予防が大切です。
厚生労働省は抗インフルエンザ薬でもある「アビガン」をSFTSの治療薬として今後承認する見通しであることを明らかにしました。
対応は少しずつ進んできているものの宮崎大学の岡林教授は、行政や研究機関などが連携して隔離する施設の整備や費用の助成などサポート体制を構築していくことが急務だと話します。
全国的に見ても感染者が最も多い宮崎県。
予防はもちろんのこと、今後支援体制を整えていくことが求められそうです。