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米坂線の復旧後の運営案 県などはJR単独での運営求める 有志団体は国主導働きかけへ

2024年6月3日 17:25
米坂線の復旧後の運営案 県などはJR単独での運営求める 有志団体は国主導働きかけへ

豪雨被害による区間運休が続いているJR米坂線の復旧を巡り、JRは5月29日、復旧後の運営案として4つの案を提示し改めてJR単独での運営は難しいとしました。これに対し、山形県などからはJR単独での運営を求める声が上がっています。

JR米坂線はおととし8月の豪雨で被災し、いまも長井市今泉と新潟県村上市の坂町の間で区間運休が続いています。復旧費用はおよそ86億円が見込まれています。
29日、JRと沿線自治体による3回目の復旧検討会議が開かれました。会議では、山形・新潟両県から提出された利用促進策の効果についてJRが試算した結果が報告されました。
それによりますと、米坂線が復旧後の2040年に小国・今泉間を利用する1日当たりの人数は、利用促進策を進めて車から鉄道への利用が大きく増えたとしても、促進策を進めなかった場合に比べておよそ100人の増加にとどまるとの結果となりました。こうした結果からJR側は、鉄道の大量輸送性を発揮しているとは言えず、JR単独での運営は難しいとしました。

JR東日本新潟支社三島大輔企画総務部長「自家用車から鉄道への変更などライフスタイルの変更による利用促進をしたとしても鉄道輸送の大量性は発揮できない。被災前と同じように当社の運営を前提とした復旧は民間企業としては持続可能性の観点から難しい」

これらの結果を踏まえた上で、JR側は、復旧後の運営方法について「JR単独での運営」、「JRと沿線自治体が共同で施設管理を行ういわゆる『上下離脱』方式」、「第3セクターなど地域による運営」、「鉄路は廃止し、バスによる運行」の4つの案を提示しました。

これに対し、両県の担当者は。
県未来企画創造部小中章雄部長「山形県としてはJR直営が望ましいと考えているが詳細な論点について引き続きJRの意見を聞き検討していく」
新潟県太田勇二交通政策局長「鉄道は大量輸送という特性だけでなく災害時のリダンダンシー機能や地方創生など様々な側面を持っている。 色んな交通資源を活用し地域の足を守ることが必要。米坂線はその中の一つと捉えている」

JRでは、次回の会議を早期に開催し、提示した復旧の方向性について検討したいとしています。
会議を受け、沿線の自治体や住民からはさまざまな声が聞かれました。

米坂線整備促進期成同盟会仁科洋一会長(小国町長)「足がないところに人は移住してこない。山形県と新潟県をつなぎ地域の経済活動を支える交通ネットワークの一つであり必ず鉄道として復旧させる必要がある」

沿線住民「やはり学生の方など必要としている人がいるので復旧に向けて前向きに動いていただければ。沿線全体で復旧費を負担するのがいいと思う」

こうした中、飯豊町では5月31日、町議会議員を中心とした米坂線復旧を求める有志の団体が発足。国主導の復旧を求めていく方針です。

JR米坂線復旧をすすめる飯豊の会菅野富士雄会長(飯豊町議)「クラブ活動などの時間帯にバスでは大変という話も出ている。国主導でJRに働きかけていただきながら復旧に向けて活動していただきたい」

会は今後、署名運動などを通じ、米坂線復旧の機運を高めていくとしています。

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