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1カ月かけての社員の世界一周旅行を支援 東根市の農機具メーカー サクランボの原産地トルコも訪問

2024年8月2日 16:47
1カ月かけての社員の世界一周旅行を支援 東根市の農機具メーカー サクランボの原産地トルコも訪問

山形県東根市の農機具メーカーがユニークな社内制度を導入し、話題を集めています。国が推進する社会人の学び直し=「リスキリング」にも通じる、取り組み。どんな制度なのか、取材しました。

世界一大きい露天風呂にー気球に乗って眺める壮大な景色。こうした世界有数の名所や絶景。誰もが一度は訪れてみたいと思ったこと、あるのではないでしょうか?

中川悠アナウンサー「立派な機械が並んでいます。 こうした農業や環境に関する機械を製造しているこちらの会社では、ほかの会社にはないユニークな取り組みが行われているそうなんです。早速お話を伺っていきます」

訪れたのは、創業100年を超える東根市の農機具メーカー・山本製作所。世界の企業と渡り合うために生まれた社内制度があります。

ユニークな取組とは?「社員の世界一周旅行を支援しています」「6月に世界一周旅行から帰ってきた社員がいます」

社員の「世界一周旅行」をサポートする制度。取り組みが始まったのは10年ほど前です。

山本製作所経営企画部・正成隼人さん「入社2年目以上の正社員が対象で、自分が行きたい世界一周旅行を企画して応募する形」

希望する人は役員など経営陣の前で自ら検討した世界一周旅行プランを発表し、PRします。採用されるとおよそ1か月の旅行が認められ、交通費の他、宿泊費に活用できる日当も出ます。営業部に所属する高橋さんはこの社内制度を活用した社員の1人です。

山本製作所農機営業部・高橋咲衣さん(33)「同じ部署の先輩がその世界一周旅行に行ってきた経験があって。1か月も仕事を休んで行けるのはすごい楽しそうだなと」

高橋さんは2019年に旅行プランが認められていましたが、新型コロナの感染拡大で社内制度の運用が一時中断。そしてことし5月、ようやく旅行が実現しました。

高橋さん「私はずっと山形県に住んでいるので山形のサクランボと温泉、そばが有名なイメージがあったので、世界ではどうなのか調べる旅行がしたいと思って」

高橋さんの旅行のテーマは、「すこだま発見!山形の魅力旅」。サクランボ・温泉・そば、世界的な名所や産地を巡り、その魅力や日本との違いを探りました。
高橋さんが計画した旅のルートです。中東のトルコをスタートし、ハンガリー、スロベニア、アイスランド、フランスといったヨーロッパを巡り、アメリカに渡って日本に戻ります。
最初に訪れた国、トルコではカッパドキアで気球に乗って絶景を眺め、トルコ最大の都市イスタンブールなどを巡りました。一番の目的は世界のサクランボ事情を調べることです。
実はトルコ、サクランボの原産地で、世界一の生産量を誇ります。

高橋さん「トルコでサクランボ農園を紹介していただいて、現地の人とお話する機会があった。日本のサクランボの育て方を資料にまとめて、質問の内容をトルコ語に翻訳したものを持って行った」

現地の生産者から生の声を聞いた高橋さん。トルコでも栽培は手作業で行っていましたが、日本のように間引きはせず品質より収量を重視していることを学びました。

高橋さん「サクランボは贈答用のものだと山形では宝石のようにきれいに並べて販売される。トルコの生産者に質問したがそういうやり方はしないと。じゃあどういうところに付加価値をつけて販売しているかと聞くと、海外ではサクランボはポピュラーな食べ物で一年中食べるそうなので、冷凍しておいて冬場にも販売することで、冬場に販売するものが高値がつくと話していた。すごく甘いし皮もパリッとしてて。手ごわいです、世界」

温泉の違いを体感するため訪れたアイスランドでは世界最大の面積を誇る露天風呂に入りました。

高橋さん「温泉というより温水プールみたいな温泉が多くて20~30度ぐらいのぬるい水温で、長時間浸かっておしゃべりしたり」

そばは、日本とは形そのものが違っていました。

高橋さん「スロベニアはあまり聞きなれないと思うけど、私が調べた情報によると、日本の10倍そばを食べる国だと、餃子の皮のようなものにそば粉が練りこまれている料理など、いろんなところで使われていてポピュラーな食べ物だなと」

山本製作所農機事業部・高橋咲衣さん(また日本に戻ってきて仕事に生かせそうなことや発見は?)「一番感じているのは根性がついた。トルコで話をしたときに『山形ではどうなの?』と聞かれたが山形を意外と知らない自分もいて。日本に戻ってきてから、モチベーションが高くなった」

企業側がユニークな社内制度を導入した狙いはグローバル人材の育成と社員の意識改革にあります。

山本製作所経営企画部・正成隼人さん「帰国した社員は与えられた仕事だけじゃなく会社をよくするためのプロジェクトや、義務じゃないことにも積極的に取り組む社員が多いように感じる」

会社のビジョンは「つくる力で世の中をワクワクさせる」。次世代を担う人材の育成に向け、企業の取り組みが注目されています。