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山形県内クマの目撃急増 追い払おうと音鳴らすも警戒せず 専門家「人里に入っていけないことをわからせる」

2024年5月29日 18:21
山形県内クマの目撃急増 追い払おうと音鳴らすも警戒せず 専門家「人里に入っていけないことをわからせる」

山形県内では5月に入ってクマの目撃が増えていて、南陽市のサクランボ園地ではクマ対策が効かずに何度も食い荒らされたケースも発生しています。専門家は、人里周辺を生息域と認識しているクマが増えていて、人に慣れる前に対策をすることが重要と指摘しています。

真っ赤に実ったサクランボを勢いよく食べるクマ。南陽市宮内にあるこのサクランボ園地では5月25日以降、クマが何度も出没し、収穫直前の「紅さやか」およそ20キロが食い荒らされました。クマは体長およそ70センチ、親離れしたばかりの1歳前後とみられています。
クマの生態を研究している岩手大学の山内貴義准教授は今回のように人里周辺を生息域と認識するクマが増えていると指摘します。

岩手大学・山内貴義准教授「去年、ドングリが不作でクマの親子が人里周辺の農園のごみを漁ったり畜舎のエサを食べたり、カキを食べたり、人の食べ物の味をかなり覚えて人里周辺で生息してしまっているクマが増えている。その子どもが親離れしてそこが自分の生息域の一部と認識してしまうと人里周辺で生活してしまうクマがいる可能性は十分考えられる」

さらに、人里を生息域と認識すると人に慣れてしまう恐れがあり対策が難しくなるといいます。
クマが出没したサクランボ園地では、食害を受けて対策として、おりのわなと、動きを感知すると大きなアラーム音が鳴る機械を置きました。設置からおよそ半日後ークマが再び現れ、機械が反応します。
アラーム音が鳴り響きましたがクマはまったく警戒した様子を見せません。
サクランボを食べるクマのすぐ近くでパイプを叩き追い払おうとしましたが、逃げませんでした。

岩手大学・山内貴義准教授「音鳴らしたり、爆竹鳴らしたりして追い払いをしようとしていたが直接的に動物に痛みや罰を与えるものではないのであそこまで人に慣れている個体だと音を鳴らしても自分に危害がないと学習しているので効果がかなり薄いと感じる」

山内准教授は「ここまでクマが人に慣れてしまうと捕獲するしかない」といいます。その上で、対策として「クマが人に慣れる前に直接的に刺激を与えて人里に入ってはいけないことをわからせることが必要」と指摘します。

岩手大学・山内貴義准教授「電気柵のような触るとばちっと痛くなって罰を与える条件付けをすると学習して来なくなると思う。賢い個体をなるべく作らないためにあらかじめ防御していく必要がある」

県によりますと、県内では5月に入ってからクマの目撃件数が増えています。1日から28日までのクマの目撃件数は32件で、そのうち10件が市街地で目撃されています。こうした状況を受け、県はことし初めてのクマ出没注意報発表し、家の周囲で取り残した果実や野菜を放置しないことなどを呼びかけています。

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