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【独自解説】大阪・関西万博の費用がまた約85億円増額 チケットの売上で賄う予定の『運営費』はチケット売れず赤字の懸念も…関係者からも「見通しが甘い」と指摘される万博の“おサイフ事情”とは?

2024年12月7日 12:00
【独自解説】大阪・関西万博の費用がまた約85億円増額 チケットの売上で賄う予定の『運営費』はチケット売れず赤字の懸念も…関係者からも「見通しが甘い」と指摘される万博の“おサイフ事情”とは?
開催まで4か月―万博費用がまた増額

 大阪・関西万博の費用が、また増額されることが明らかになりました。『警備費』『機運醸成費』が大幅に増額。またチケット売上で賄う予定の『運営費』は、チケットが売れず赤字の懸念もでており、“税金で賄う”可能性も…。はたして万博の財源はどうなっているのか?『読売テレビ』中野颯大記者の解説です。

■「見通しが甘い」と協会関係者も指摘 またも増額する万博費用

 今回、新しく明らかになったのは、『警備費』と『機運醸成費』の2つです。『警備費』は、会場内での警備・要人警護・元々予定していたパビリオンではなくなった所の警護などに使うお金です。『機運醸成費』は、万博を盛り上げるために必要になるお金です。

 万博の『お金の問題』について、改めて整理します。今回、増額が明らかになったのが『警備費』と『機運醸成費』の2つですが、『会場建設費』と呼ばれる、国と大阪府・市と経済界で3分の1ずつ負担するお金も、元々1250億円の予定が、当初より1100億円増の約2350億円と、2度にわたり約2倍に増額しています。

 もう1つが、会期中の会場内での運営などに使う『運営費』です。これも当初より約351億円増の約1160億円になりました。全体的に、金額がどんどん増えているという現状です。

 しかし、今のところ内訳の詳細は明らかにはされておらず、今回明らかになった2つは合わせて85億円ほどですが、これも補正予算案に通す段階で、『警備費』『機運醸成費』という発表があったのみです。詳細を明らかに公表していかないと、なかなか国民の理解を得られないのではないかというところです。

 一方で、警護する必要のあるVIPが増えるということは、世界各国からの注目が高まり、多くの方が来るということなので、そこを含めて、『どれぐらい必要なのか・どういう理由で必要なのか』をちゃんと説明して、国民の理解を得られるのであれば、もちろんそこに投じるべきと考えます。

(『読売テレビ』高岡達之特別解説委員)
「世界のVIPの方を、警備会社の人に警護させるわけがないので、当然、警察がやります。大阪府警だけでは足りないので、警視庁や全国の警察も来ます。都道府県警察なので、残業代が発生します。それがもし、この費用の中に入っていなかったら…というのが一つ心配です。警備会社の人に守っていただくとなると、住む所・建物を用意する必要もあります。それはほとんど『人件費』で、後に残らないお金です。そういうところも、見通しが甘いのではないでしょうか」

■チケットの購入はほぼ経済界?一般客に売れず苦戦…『運営費』が赤字になれば誰が負担するのか?

 実は協会の関係者からも、「見通しが甘い」という声が上がっているのが実情です。『運営費』についても議論が上がっているのですが、この『運営費』は、元々“チケットの売り上げで賄うお金”になっています。目標が2300万枚で、このうち赤字を回避するためには、前売り券・会期中・当日券など全部合わせて、1800万枚ほどの販売が必要だといわれています。

 今は前売り券で737万枚が販売されています。前売り券の目標は、約1400万枚と定めていますが、売れているのは、そのうちの半分程度です。これが多いか少ないかは色んな意見があると思いますが、ここで注目したいのは、このチケットの購入は、ほぼ“経済界”、つまり企業が多いということです。

 前売り券737万枚のうち、700万枚程が、企業が買う予定になっています。つまり、ほとんど一般の方には売れておらず、あまり売り上げが伸びていないというのが、大きな課題になっています。

 1800万枚に辿り着くためには、一般の方も含め、あと1100万枚売らなければいけません。そうでないと『運営費』が赤字になってしまいます。では、もし赤字になってしまった場合、その赤字分を、次は誰が負担するのか。ここに関しても、やはり「見通しが甘い」「シミュレーションが少ないんじゃないか」というような意見が上がっていて、割を食いそうな経済界が戦々恐々としています。

 今回明らかになった『警備費』などは、もちろん国の補正予算ですので、税金が対象になります。しかし、チケットの売り上げなどで賄おうとしている『運営費』は、もし足りないとなっても、経済界は『会場建設費』や『約700万枚のチケット代』も負担している為、これ以上の負担は厳しい状態です。そうなると、次は大阪府・市や国に負担が来ることになり、ここにもまた税金を使うのか、という話になりかねません。

 チケットを売るために、また税金を使うとなると、本末転倒になってしまいます。『本当にこのお金が必要なのか』『ここにお金を投じるべきなのか』というのを改めて精査して、国民の理解を得られるように、必要な情報を明らかにしてほしいと思います。
(『読売テレビ』中野颯大記者)

(「かんさい情報ネットten.」2024年12月3日放送)

最終更新日:2024年12月7日 12:00