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【全文】中国船領海侵入やガス田開発に「遺憾」抗議も 官房長官会見(6/21午前)

2022年6月21日 14:17
【全文】中国船領海侵入やガス田開発に「遺憾」抗議も 官房長官会見(6/21午前)

松野官房長官は21日午前の会見で、中国海警局の船2隻が相次いで沖縄県・尖閣諸島周辺の日本の領海に侵入したことについて、「誠に遺憾」とした上で、厳重に抗議したことを明らかにしました。

<会見トピックス>
▽閣議概要

▽G7・NATO首脳会合

▽物価高対策

▽核をめぐる国際会議

▽尖閣諸島

▽中国ガス田開発

▽中国ロシア産原油輸入

▽元徴用工問題

▽フランス総選挙

▽参院選中の危機管理

会見の概要は以下の通りです。

○松野官房長官
閣議の概要について申し上げます。

一般案件等34件、政令人事が決定されました。

大臣発言として、国土交通大臣から令和4年度版国土交通白書について。

文部科学大臣から特殊法人の長の人事について。

岸田内閣総理大臣から海外出張不在中の臨時代理について、それぞれご発言がありました。

本日の閣議で承認された内閣官房、内閣府の人事はお配りした通りであります。

次に、岸田総理は6月26日から28日までG7サミットに出席するため、ドイツのエルマウを訪問する予定であります。

今回のG7サミットはロシアのウクライナ侵略に対し、G7が結束をして、国際社会の秩序を守り抜くことを改めて確認する重要な機会です。

また、インド太平洋を含む地域情勢、世界経済や気候変動といった重要課題について、G7の首脳間で率直な議論を行う機会となります。

来年の議長国として議論に積極的に貢献していきます。

また、6月28日から29日までNATO首脳会合に出席するため、スペインのマドリードを訪問する予定です。

今回の出席はNATO側からの招待を受けたものであり、日本の総理大臣によるNATO首脳会合への出席は史上初となります。

今回の会合では欧州とインド太平洋の安全保障は切り離せないとの認識のもと、ロシア、ウクライナ侵略への対応や、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、NATOとの結束を確認し、連携を強化する機会にしたいと考えています。

次に、先ほど物価動向に関するヒアリング及び第1回物価・賃金・生活総合対策本部を開催を致しました。

まず、物価動向に関するヒアリングにおいて、小売、食料品生産、農業、消費者、それぞれの立場の現場の皆様から現下の物価動向の実感と対応策の方向性についてご意見を伺った上で、物価・賃金・生活総合対策本部の初会合を行いました。

本部においては関係閣僚から、これまでの子育て世帯への給付などの家計負担軽減策、食料品価格の抑制に向けた穀物や飼料の価格高騰対策、原油価格の高騰対策、地方創生臨時交付金を活用した地域の実情に応じた取り組みなど、これまでの対応策の効果について説明があるとともに、総理から今後の対応方針についてお聞きいただいた通りの発言がありました。

政府としては引き続き、国民の皆様の声に耳を傾け、生活に直結する食料品価格や穀物価格、エネルギー価格等の物価動向やその経済に及ぼす影響を注視し、最大限の警戒感を持って切れ目なく対応をしていきます。

私からは以上です。

――G7とNATO首脳会合の関係について。

今回出席することに対する意義とG7、NATO首脳会合でバイ会談が予定されているものがあれば。

○松野官房長官
目的等に関しましては先ほど冒頭発言で申し上げた通りでございます。

バイ会談に関しての質問でございますが、現時点でバイ会談について何ら決まってるものではございません。

――物価高対策について。

報道各社の世論調査では、物価高への懸念や不満を示す人が多く支持率にも影響を与えているが、参院選公示を明日に控え、政府の物価高対策をどのように発信する考えか。

○松野官房長官
参議院選挙について政府としてコメントすることは控えたいと思います。

その上で政府としてはこれまでも児童扶養手当受給世帯や低所得の子育て世帯に対して、児童1人当たり5万円を支給。

食料品価格高騰対策として、輸入項目について、政府の国内製粉企業への売り渡し価格を9月まで据え置き、配合飼料の生産コストを補填。

原油価格の高騰対策として、激変緩和事業を実施。

地方創生臨時交付金を活用した地域の実情に応じた取り組みなどを実施をしてきたところであります。

物価の高騰への今後の対応については既に先ほどの本部の総理取りまとめにおいて、食料品の生産コストやエネルギー価格への対応、地域の実情に応じた取り組みなど、それぞれの政策分野において具体的な政策方針の表明があったところであり、これに基づき、関係省庁において個別の政策内容を順次具体化をし、実行に移していくことでこれまでの対策とあわせ、切れ目ない対応を行ってまいりたいと考えております。

――核をめぐる国際会議について。

核兵器禁止条約の初めての締約国会議が今日から開かれる。

日本政府は出席しない方針と承知しているが、政府としての立場は。

また、核をめぐっては8月にNPTの再検討会議がアメリカで開催されるが、岸田総理は出席することになるのか、検討状況は。

○松野官房長官
核兵器禁止条約は、核兵器のない世界への出口ともいえる重要な条約であります。

しかし、現実を変えるためには核兵器国の協力が必要でありますが、同条約には核兵器国は1か国も参加をしていません。

我が国は唯一の戦争被爆国として、核兵器国を関与させるよう努力をし、核兵器のない世界に向けて現実的な取り組みを進めていく考えであります。

核兵器禁止条約締約国会合に関する他国の対応ぶりについて、我が国としてコメントすることは差し控えたいと思いますが、我が国としてはこうした考えから、今般の締約国会合に、政府としてオブザーバー参加はいたしません。

NPT運用検討会議につきましては、諸般の事情が許せば岸田総理が出席をする予定であります。

NPTは核兵器国と非核兵器国の双方が参加する国際的な核軍縮・不拡散体制の礎石であります。

岸田総理自ら出席をして、政府として、同会議で意義ある成果を収められるよう全力を尽くす考えであります。

――核兵器禁止条約に関して。

核保有国を関与させるために努力することと会議にオブザーバー参加することは別の話かと思う。

総理自身も核兵器禁止条約は重要な条約と認めていて、核兵器廃絶に向けて議論するこの会議にオブザーバー参加することが総理が言う核兵器保有国と非保有国の橋渡しの役割を果たすことに繋がると思うがいかがか。

○松野官房長官
先ほど述べた通りでありますけれども、現実を変えるためには核兵器国の協力が必要でありますが、同条約には核兵器国が一国も参加をしておらず、我が国は唯一の戦争被爆国として核兵器国を関与させるよう努力をし核兵器のない世界に向けて現実的な取り組みを進めていく考えであります。

――物価高対策。

個別の政策内容を順次具体化ということだが、対策本部で、総理は地方創生臨時交付金の増額や中小企業の価格転嫁の円滑化に向けた施策などについても進めると言っていたが、これらの対策のとりまとめ時期はいつ頃を想定しているのか、検討状況は。

○松野官房長官
先ほどの会議の中で、総理から具体的な指示策が出されております。

それを受けて、担当の閣僚を中心として各省庁で順次、具体化をしていく、実施をしていくということであります。

――中国によるガス田開発について。

外務省は20日、中国が東シナ海の日中中間線の西側で掘削機材などの設置を確認し、海洋プラットフォームの設置が完了したと発表した。

6月に入ってからも18基目の構造物を設ける動きが確認されるなど、中国の一方的なガス田開発が止まらない状況だが、政府としてどう対応していくか。

○松野官房長官
本年5月に東シナ海の日中地理的中間線の西側において、構造物の設置に向けた動きが確認をされていた地点において、今般、海上自衛隊が掘削機材等の設置を確認をいたしました。

その後分析の結果、海洋プラットフォームの設置が完了したことが確認をされました。

東シナ海の排他的経済水域および大陸棚の境界が未だ確定をしていない状況において、日本側からの類似の申し入れにもかかわらず、中国側が同海域において、一方的な開発行為や、その既成事実化の試みを進めていることは極めて遺憾であります。

本件について直ちに外交ルートを通じ、中国側に抗議をするとともに、東シナ海資源開発に関する日中間の協力に関する2008年合意の実施に関する交渉再開に早期に応じるよう改めて強く求めたところであります。

これまでも中国側による関連の動向を把握するために、中国側に対して一方的な開発行為やその既成事実化の試みを中止するよう強く求めてきており、今後も求めていく考えであります。

――海上プラットフォームについては、自衛隊や米軍の動きを把握するためのレーダー設置などの軍事利用の可能性も指摘されている。

政府として、中国の海上プラットフォームについて、安全保障の観点からどのように認識しているのか。

○松野官房長官
これまでに設置が確認をされた、18機の構造物のうち、1か所でレーダー等の機器の設置が確認されています。

中国側の意図、目的について、確たることを申し上げるのは差し控えたいと思いますが、政府としては、引き続き、中国側の動向を注視をしていく考えであります。

――中国公船の領海侵入について。

中国海警局の船2隻がけさ沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に相次いで侵入した。

日本政府の対応と中国に抗議したのか、また、中国当局の船による尖閣周辺での領海侵入が相次いでいることについての受け止めと対応は。

○松野官房長官
本日、午前4時10分頃から午前4時11分頃にかけて、中国海警局に所属する船舶2隻が順次、尖閣諸島周辺の我が国領海に侵入し、当該海域において航行していた日本漁船1隻に近づこうとする動きを見せました。

現在、いずれも領海内にとどまっています。

現場海域においては、海上保安庁の巡視船が、当該船舶に対し、領海からの退去要求や進路規制を繰り返し実施するとともに、日本漁船に近づかせないよう、巡視船を日本漁船の周囲に配備し、漁船の安全を確保しています。

中国海警局に所属する船舶のこのような活動はそもそも国際法違反であり、本事案についても外交ルートにおいて厳重に抗議をし、速やかに我が国領海から退去するよう、強く求めたところであります。

中国海警局に所属する船舶が尖閣諸島周辺の我が国領海に侵入したことは誠に遺憾であり、受け入れられるものではありません。

引き続き、緊張感を持って、尖閣諸島周辺の警戒監視に万全を尽くすとともに、中国側に対しては、冷静かつ毅然と対応していく考えであります。

――中国艦艇の動きについて。

中国のミサイル駆逐艦や補給艦が、今月中旬から日本列島を周回するような動きを見せている。

一つ一つの動きは政府として把握し、その都度公表しているが、日本列島を周回するような動きについて、政府としてどのように認識しているか。

○松野官房長官
6月12日以降中国海軍の4隻の艦艇が対馬海峡を日本海に向けて航行しその後うち2隻が津軽海峡、残りの2隻が宗谷海峡を通って太平洋に航行しています。

昨日までにこれら4隻の艦艇が宮城県東方海域を南下し千葉県の南東海域において、南西の方向に航行するのを確認をしております。

中国が軍事力の質・量を広範かつ急速に強化をしており、軍事活動等の急速な拡大・活発化や、国防政策の不透明化なども踏まえれば、我が国を含む地域と国際社会の強い懸念となっています。

関連動向について引き続き注視するとともに、我が国周辺海空域における警戒監視活動等に万全を期す考えであります。

――NPT再検討会議への出席について。

日本の首相としての出席は初めてとなるが、その意義と狙い。

会議日程は8月1日から26日と間があるが、参加は1日の冒頭で想定しているのか

○松野官房長官
まず日程についてのご質問でありますが、具体的な日程については今後調整をしていく予定であります。

参加の意義につきましては先ほど申し上げた通りでありますけれども、NPTは核兵器国と非核兵器国の双方が参加をする国際的な核軍縮・不拡散体制の礎石であり、意義ある成果を目指したいと思いますが、メッセージを含め、具体的な内容については今後検討をしていく予定であります。

――冒頭のNATO首脳会合の関連で確認。

日本と同様にゲストで招かれている韓国、オーストラリア、ニュージーランドとのマルチの会合の予定についてはいかがか。

○松野官房長官
ご指摘の会合も含め、個別具体的な日程は、何ら決まっているものではありません。

――中国によるロシア産原油の輸入の急増について。

中国の先月のロシア産の原油輸入が、前年比55%増となり、サウジアラビアを抜いて首位となった。

ロシアのウクライナ侵攻によりG7が連携した制裁措置に反する動きであり、制裁の抜け穴となっている。

政府の現状認識と、中国をはじめとするロシア産原油の輸入を拡大する国に対して、国際社会と連携してどのように対応していくのか。

○松野官房長官
ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であり、高い代償が伴うことを示していくことが重要であります。

ロシアにとって、石油輸出は、重要な外貨獲得手段であり、我が国も、G7首脳声明を踏まえ、ロシア産石油の原則禁輸という措置をとることといたしました。

国民生活や事業活動への悪影響を最小化する方向で、フェーズアウトのステップを取っていく考えであります。

G7各国の首脳会合では、制裁の回避や、迂回を行わせないことについて、G7で連携をし、各国に働きかけていくことで一致をしています。

我が国としては、引き続き、制裁の抜け道が生じないよう、G7をはじめとする国際社会と緊密に連携をし、ロシアへの外交的、経済的圧力を一層強める考えであり、中国への働きかけを含め、適切に対応していく考えであります。

――韓国の元徴用工問題について。

韓国側で、元徴用工問題について、官民による協議体を作る方針。

解決策を探って、日韓関係を前に進めるためとされているが、日本政府として期待することがあれば。

○松野官房長官
ご指摘の報道は承知をしていますが、韓国国内の動きのひとつひとつについて、コメントすることは差し控えたいと思います。

いずれにせよ、政府としては、日韓関係を健全な関係に戻すべく、日本の一貫した立場に基づき、韓国側と緊密に意思疎通していく考えであります。

――フランスのマクロン政権について。

与党が過半数割れをすることに。

背景には物価高騰が逆風になったとされている。

日本でも物価高騰が課題となっていて今後の参院選の争点になるが、日本政府としての受け止めを。

○松野官房長官
現地時間6月19日に行われたフランスの国民議会選挙第2回投票の結果、マクロン大統領の与党政党連合結集の獲得議席が過半数を下回ったと承知をしています。

他国の内政状況について政府としてコメントすることは差し控えたいと思いますが、フランスは我が国にとって自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有する特別なパートナーであり、引き続き2国間関係を強化をしていく考えであります。

――選挙期間中の危機管理体制について伺います。

明日、参院選が公示される。

総理や長官は遊説に入られることもあるかと思うが、本格的な出水期を迎えているほか、北朝鮮のさらなる挑発行為の恐れなども指摘。

期間中の官邸の危機管理体制をどのように確保していく方針か。

○松野官房長官
政府としては平素から危機管理に万全を期すことが重要であるとの認識のもと、緊急事態に速やかに対応できる態勢を整えているところであります。

総理と私が同時に在京しない場合においては、私が指名した政務の副長官が在京して代理を務めることとしているほか、総理も私もいかなる時にも連絡、報告を受け、緊急時には直ちに官邸に参集できる体制を整えています。

引き続き危機管理に万全を期してまいりたいと考えております。

――物価対策の会議の総理発言の中で、地方創生臨時交付金について5.5兆円の予備費も活用して地方創生臨時交付金のさらなる増額を行うと発言。

交付金の増額の日程感や規模感について。

○松野官房長官
先ほど申し上げましたけれども、総理の具体的な指示を受けて担当大臣を中心に各省庁間で具体策については順次検討し、実施をしていくということでございます。

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