ベネチア国際映画祭で銀獅子賞 世界が認めた濱口竜介監督「金とりたかった?」に謙虚な回答
映画『ドライブ・マイ・カー』で2022年、米・アカデミー賞の国際長編映画賞を受賞し、世界に名をとどろかせた濱口監督。同作でカンヌ国際映画祭の脚本賞、『偶然と想像』でベルリン国際映画祭・銀熊賞に輝いており、世界三大映画祭といわれる祭典の全てで賞を得たことになりました。
『悪は存在しない』は、自然豊かな長野県で暮らす親子の家の近くでレジャー施設のオープン計画が持ち上がり、波紋が広がっていく様子を描いた作品です。『ドライブ・マイ・カー』で音楽を担当した石橋英子さんが、濱口監督にライブパフォーマンス用の映像制作を依頼したことがきっかけで製作が始まったといいます。
■世界三大映画祭全てで受賞…「金とりたかった?」に謙虚な答え
授賞式後に行われたメディア向けの取材会で、「素晴らしい賞をいただいて、信じられない気持ちでおります」と今の心境を明かした濱口監督。「企画を始めた当初は海のものとも山のものともつかないような企画ではあったので、ここまでたどり着けたことも奇跡的だと思いますし、関わってくださった皆さん、特に発案者である音楽の石橋英子さんの力がとても大きいと思います。そしてキャスト・スタッフの皆さんの力があったおかげで、ようやくこういう結果に結実するようなそういう映画ができたなかなと思います」と、感謝の言葉を口にしました。
また、記者から「ベルリン国際映画祭の『偶然と想像』に続いて2回目の“準優勝”。金獅子賞をとりたかった?」と聞かれると、「本当に“少しもない”のが正直なところです。そもそもコンペティション部門に選ばれるとも思っていなかったし、賞をとるとも思っていなかったので、金をとりたいという気持ちも、そもそもそんなに持ってはいないというのが正直なところ。本当に一番いいものをいただいたというような気持ちです。自分たちにとってはこれ以上の結果はないんじゃないかなと思っています」と、謙虚に語りました。