桂文珍「若い時から“この子いいな”と」落語界の重鎮が明かす “将来を期待する後輩”
上方落語の重鎮であり、2月には人気演芸番組『笑点』で、三遊亭円楽さんの代わりを務めた文珍さん。毎年8月8日に行われ、なんばグランド花月の“夏の風物詩”ともいえる独演会を今年も開催することを発表しました。
■40回目の独演会に“あと何年できるやろ”
文珍さんは会見で、独演会が“40回目”を迎えることについて「あっという間の40年だった。“ようやってこられたな”という思いと、“あと何年できるやろ”という思いが交錯する」と心境を明かし「コロナ禍やウクライナ情勢などで、鬱々とした日々が続いて皆さん疲れ果ててらっしゃるのではないか。効率性とコストパフォーマンスが求められ、情報過多でストレスも多いが、そういう中で落語という手法を使い、少しでも潤いを感じていただいたら」と思いを語りました。
■「自信作」と語る演目には“メタバース”も登場
新型コロナウイルスの感染状況が悪化していた時期は、客席に一握りの観客しかいないこともあったといいます。「その間にいろんな実験的な噺(はなし)を作ったり、実験的なことができるメリットもあった」と前向きに話した文珍さん。独演会の演目の1つ『デジナン』(“デジタル難民”の略)は、「高齢化とデジタル化の落差を笑い飛ばす」自信作で、ニュースでもよく耳にする“アバター”や“メタバース”(インターネット上の仮想空間)も登場する“実験的な内容”になっているといいます。
■「若い時から“この子いいな”」期待の後輩がゲストに決定
また、上方落語の後輩たちについて宮治さんを引き合いに「皆さんが“誰かいい子いないのかな”と思っていただいている時に、グンと伸びる子が上方にも早く出てきてほしい。漫才は『M-1グランプリ』があったりして、うまいことビジネスパターンが出来上がった。落語でも、ある種の競争原理を働かせながら、より腕を磨くような場所を用意しないといけない」と課題を語り、「“このおっちゃん、いつまでやんねや。しつこいな”と言われながらもがんばって、いい後輩が私どもを踏み出しとして前へ進んで、その背中を見ながらのたれ死ねたらいいなと思っております」と話しました。