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太宰治の名作『走れメロス』を和菓子で再現 創業220年以上の老舗が文学×和菓子を作った理由

2023年10月24日 23:15
太宰治の名作『走れメロス』を和菓子で再現 創業220年以上の老舗が文学×和菓子を作った理由
『文菓子 走れメロス』
文豪・太宰治の代表作『走れメロス』を再現した和菓子が登場。SNSなどで大きな話題となっています。今回、企画担当者に再現した理由などを伺いました。

『走れメロス』は、自分の身代わりに死刑になろうとしている親友を救うために走り続けるメロスを描いた文学史に残る名作短編小説。今回、1803年創業の京都の老舗和菓子店『亀屋良長』から、小説の文章や名場面をモチーフに作った『文菓子 走れメロス』が発売決定。読書週間が始まる10月27日(金) から販売されます。
 
ハードカバーの本を模したパッケージに入っているのは、『走れメロス』が書かれた冊子と4つの和菓子。冊子を読み進めると登場する色付きの一文にあわせて、ひとつずつ和菓子を楽しめるようになっています。

例えば、作中で描かれる妹の結婚式をモチーフにしたのが『菓銘:祝宴』。人々が陽気に歌う牧歌的な結婚式の風景を錦玉羹(きんぎょくかん)で表現。

また、作中の言葉『メロスは激怒した』をモチーフにしたお菓子は『菓銘:激怒』と名付けられ、メロスの怒りの気持ちを唐辛子やゆずこしょうなど、スパイスを効かせた『吹き寄せ』で表現しています。

そして『菓銘:水音(みずおと)』は、疲れ果て自暴自棄になったメロスが再び希望をもち、走り出す糧となった“水”をこはく糖で表現。

物語のクライマックス、日没直前、メロスが親友の元に到着し、二人の友情に改心した王の場面を表現したのが『菓銘:夕陽と共に来たる』。美しい夕景を表現したマイタイようかんは、ラム酒入り黒蜜をかけると、夜への移ろいの変化を楽しむことができます。

■企画担当者が語る 『走れメロス』の決め手は“女将さんの親戚・読書少女の推し”

和菓子と小説という異色のコラボに、SNSでは、「こんな発想初めて見た…」、「いいなこれ!!国語の先生やってる友達に贈りたい」、「こういうの好き。企画考えた人すごい」などの声が上がっています。

なぜ、こうした和菓子を作ったのか? 今回、『亀屋良長』と共同で企画を行ったWunderman Thompson Tokyoのクリエイティブ・ディレクター 倉田洋輔さんに話を伺いました。

思いついたきっかけについて、倉田さんは「和菓子には味わいはもちろんのこと、様々な形や色といった繊細な表現力がある。この表現力を楽しんでもらうために、と思いついたのが文学でした。もし伝統の技を用いて日本人みんなが知っている文学の一節を和菓子にできたら、和菓子ファンはもちろんのこと、若い人や普段和菓子に馴染みのない人にも興味を持ってもらえるのではないか」とコメント。

『走れメロス』を作品に選んだ理由は「皆さんが“あの物語が和菓子になったの!?”と驚いてくれる知名度があること。そして和菓子になったとき、様々な表現ができるような、起伏に富んだワクワクするストーリーであることが大切でした。その視点で亀屋良長さんと議論を交わさせていただき、最終的にこれしかないだろうとたどり着いたのが『走れメロス』でした」と説明。

さらに意外なところからも後押しがあったそうで「女将さんのご親戚である読書少女が『走れメロス』を推してくれたのも決め手の一つです」と明かしました。

今後については「第2弾、第3弾と色々な文学で展開していけたらなと考えています。名作文学だけでなく気鋭の作家さんの新作とコラボレーションしたり、文学だけにとどまらず一枚の音楽アルバムを和菓子で表現するなんてことも挑戦できたら楽しそうだなと考えています」と展望を明かしました。