寺島しのぶ「ああ、この世界が見たかったのか…」 50年憧れた歌舞伎座の舞台に立つ思い
■獅童さんからのプレゼント 初めて歌舞伎座の舞台へ
七代目・尾上菊五郎さんの長女として、歌舞伎の名門・音羽屋に生まれた寺島さん。祖父は七世・尾上梅幸さん、弟は五代目・尾上菊之助さんという歌舞伎一家に育ちました。しかし、寺島さんには歌舞伎俳優になる道はなく、過去には“もし自分が男だったら、歌舞伎をやりたかった”と明かしていたといいます。そんな寺島さんだからこそ、今回の歌舞伎座本興行への出演には熱い思いがありました。
――今回、どのようにして歌舞伎座公演への出演が決まったのでしょうか?
「獅童くんから電話がかかってきて、“山田監督が新しい『文七元結物語』を作りたいと言っていて、(獅童さん演じる主人公の妻役の)お兼に、しのぶちゃんの名前を出させてもらったんだけど、どう?”って言われたんです。一瞬考えて、“うん、やりたい”って言ったんだと思います。獅童くんが“しのぶが歌舞伎座に出るんだぜ!”って言っていたから、私はやっぱり若い時から“歌舞伎座出たかったな”みたいなことを、獅童くんとお酒を飲むたびに言っていたような気がします。だから(獅童さんが出演という)プレゼントをくれたのかなって」
――初めての歌舞伎座に立つ心境はいかがですか?
「きのう、舞台稽古で初めて立ったんですよね。でも暗闇だったからあんまり実感が湧かなかったんです。何も感じることなく普通に花道を歩きましたけど、“花道を歩いてるわ…、私が…”っていう」
――5月に息子・尾上眞秀さんの初舞台でサポートされている姿も印象的でしたが、寺島さんにとって、歌舞伎座はどのような存在ですか?
「客席に座っているか、ロビーや楽屋をウロウロしているかのイメージしかないから、まさか自分が50年たって舞台の上から客席を眺める日が来るのかって。(初日の幕が開いたら)“ああ、この世界が見たかったのか…私は”って思うのかな。眞秀の時は、“大丈夫かなぁ…”っていう変な胃の痛みが走ったりするんですけど、今回自分のことだと、またさらにいろんなものが、のしかかってきているような気がして。“ここは歌舞伎座だ。これは人生初めてだ”って自分の中でやりだすとキリがないので、平常心を保って、いろんな人が“頑張ってください”って言ってくださる思いを受け止めて、楽しくいけたらいいなと思います」