米・アカデミー賞授賞式直前 『ドライブ・マイ・カー』濱口竜介監督 作品作りへの思い明かす
アメリカ・アカデミー賞の4部門にノミネートされている、映画『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介監督(43)が、授賞式が行われるロサンゼルスで27日(日本時間)取材に応じ、作品作りへの思いを明かしました。
映画は妻を亡くし喪失感を抱えた主人公が、広島へと向かう道中に出会う専属運転手となった女性らと対話を重ね、新たな一歩を踏み出すロードムービーです。この作品は、アカデミー賞の作品賞・監督賞・脚色賞・国際長編映画賞の4部門にノミネートされています。
今回メガホンをとった濱口監督は『ドライブ・マイ・カー』の撮影時、俳優たちへ伝えていたことがあるといい「嫌だったら言ってください、違和感があれば伝えてくださいということ。例えば “これをなんとなく演じたくない” “なんとなくこのセリフを言いたくない” とかっていうのは何かのサインだと思うので、何かがうまくいっていない、何か無理をしなくちゃいけない、何か見せたくないような自分を引っ張り出してやらなきゃいけないことだと思うので、そういう違和感があったら教えてくださいねということは、お伝えをしている」と話しました。
さらに伝え方にも配慮をしていたそうで「それは上下関係があってしまうと、とても難しくなってしまうので、ここでは “できない” とか “やれない” と言うのはいいことなんだと、それは我々の仕事の精度をあげることなんだということを思って(言った)」と語りました。
そこには濱口監督が、作品作りで心がけていることがありました。「ドキュメンタリーを撮った経験があって、カメラの前に立っていただくということに配慮をする。怖いかもしれないとか、この映像が出回ったら傷ついてしまうことがあるかもしれない。これはきっと役者さんであったとしても根本的には同じなのではないかと。無限の目線にさらされる。なので役者さんができるだけ安心して演技に集中できるような環境を作らないといけないなということは、自分の職業上の義務として思うようになりました。それを最大限配慮しなくては、本当にその人の奥底にあるようなものっていうのが、現れてこないってこともまた思ったので、それは心がけようと思いました」と明かしました。
アカデミー賞の授賞式は28日(日本時間)に行われます。