アナログ盤を一発でレコーディングする技術、ダイレクトカッティングの実演会が３０日、東京・文京区のキング関口台スタジオで行われ、日本を代表するクラシック音楽家の辻本玲さん（チェロ）、米元響子さん（バイオリン）、上原彩子さん（ピアノ）、大矢素子さん（オンド・マルトノ）が名曲の一発録音に挑んだ。

ＣＤをはじめとするデジタル音源が主流派になった音楽再生の世界で近年、急激にアナログレコードへの注目が高まりつつある。
キングレコードはこの秋から、録音スタジオの生音をダイレクトに録音するダイレクトカッティングを稼働することを決定。大規模セッションが可能なスタジオとしては国内唯一で、世界を見渡しても、ビートルズが録音スタジオとして使っていたイギリス・ロンドンのアビーロードスタジオしかないという。

キングレコードの村上潔社長は「歴史的な１日。緊張感のある１日であります」と、待ちに待ったこの日に期待感を寄せた。

デモンストレーション演奏後、仕上がりをその場でチェックした辻本さんは、「自分の演奏を聴くのは、みんな大嫌いだと思いますが」と演奏家の資質を明かし笑わせてから、「雑味がたくさん入っていていいなと思いながら聴いていました」と感想を伝えた。

演奏の編集、やり直しができないため、ミュージシャン、エンジニアともに緊張感のあふれる作業となる。関係者は「音にこだわりのあるミュージシャン、ＹＯＳＨＩＫＩさんらに使ってもらえたら」と、音楽シーンへの広がりを望んだ。