まもなく解散 BiSH アユニ・D 最初は「あ…あ…しか、しゃべれなくて」 加入後に心の変化
■「性格がすごく根暗」
――BiSHの魅力は?
ジャンルにとらわれていないところが一番大きいところだと思っていて楽曲に関してもそうですけど、例えば、衣装とか振り付けとかお客さんの層とかも。あとロックフェスやアイドルフェスにも出させていただいたり、いろんな枠を超えて表現できるのがBiSHのいいところ。楽曲面に関しては、特に無造作に6人だったら何をやってもBiSHになるのがすごくいいところだなと思いますね。私たちは“楽器を持たないパンクバンド”でやらせてもらっているんですけど、それを決めるのはBiSHの楽曲を聴いて受け取った側、お客さんとか世の中の一人ひとりが自由に決めてもらえたらいいなと思っています。
――アユニさんの得意ジャンルはアイドル? ロック?
私の中でのアイドルのイメージはキラキラした笑顔で、クラスの中で一番かわいい女の子ってイメージがあるので、勝手な偏見なんですけど。そういうものとは自分はすごくかけ離れている存在だと思っているので、“かわいい”とかを表現するのは苦手ですね。やりたい放題ライブをやっているのが一番好きです。
――アユニさんがBiSHで貢献できている部分は?
BiSHの中で私はすみっこにいる人なので、性格がすごく根暗なので。でも、そういうものを歌詞で表すと、自分が生きていて感じたことなどを歌詞に書いて世の中に発信すると、聴いてくれた方々が人生って楽しいことばかりじゃないから、そういう部分を共感して救われたとかよく言ってくださる方々がいて、それはすごくうれしいなって思います。
――性格が根暗なアユニさんがステージでは堂々とパフォーマンスできるのはなぜ?
やりたいと感じた衝動的なものとかを表現できるのがライブしかないから。お客さんとかも普段の生活のストレスとか鬱憤(うっぷん)とかをライブとか好きな音楽を聴いて晴らせたらいいなっていう感覚と一緒というか、コミュ障特有の承認欲求があるので、それをステージで出しちゃっているんでしょうね。
■BiSH加入前は「人とコミュニケーションとるのが絶望的」
――BiSHに入ろうと思ったのはなぜ?
単純的なことなんですけど音楽が好きで。あとは承認欲求がすごくあって、でも学校とかでは静かだったり、携帯が友達っていうくらいずっと触ってひとりでいたりして、それをどこかで出したかったんでしょうね。自分のことがすごく嫌いで何かになりたかったんだと思います。何者かになりたいという気持ちがすごく強くて、別に何かができるから何やりたいとかそういうわけじゃなくて。
――アユニさん作詞の曲を聴いて勇気をもらえるという声がありますが?
北海道で育って別に何も取りえがなかった女の子がいきなり東京に来てBiSHに入って、はたから見たらBiSHっていい感じで売れてるように見えるじゃないですか。それをシンデレラストーリーというか、そういうふうに受け取る人が多くて、実際は全然違うんですけど。それを見て私もなりたいとか思ってくれるのであればよかったなって。何か勇気を出せる基になれたのなら、それはうれしいなと思います。
――BiSHになって自分自身に変化はありましたか?
ありますね。人とコミュニケーションとるのが絶望的にできなくて、BiSHに入った頃とかメンバーとも「あ…あ…」しかしゃべれなくて。でも、生活も環境も関わる人間も全て変わったので自然とというか、自分がすごく変わりました。今の変わった自分がすごく好きです。
――これからの目標は?
知名度は全然まだまだ、ぺーぺーだと思うので、お茶の間に広がったらいいなって思いますけど。初めよりはステージがどんどん大きくなっているので、幕張とか横アリとか。小さいライブハウスも大好きなので今もやっているんですけど、ライブに来てくれるお客さんが増えてきて、それがもっと増えたらいいなって、増やしたいと思っています。
【BiSH プロフィル】
2015年に結成し、翌年メジャーデビュー。“楽器を持たないパンクバンド”という唯一無二の表現スタイルで、さまざまな音楽ファンを魅了。横浜アリーナや幕張メッセなどでワンマンライブを開催しロックフェスにも多数出演。2021年には『NHK紅白歌合戦』への出場を果たしましたが同年、グループを解散することを発表。6月29日の東京ドームでのライブを最後にグループとしての活動に終止符を打ちます。