『ゴルゴ13』『タッチ』など…マンガから学ぶ“生きる力” 「これも学習マンガだ!展」が開催
生きる力を学び、社会について想像することができるマンガ作品を紹介、展示する『これも学習マンガだ!展~私たちをとりまくセカイとミライ~』が、11月3日から東京・豊島区のトキワ荘通り昭和レトロ館でスタートしました。
このイベントは豊島区制90周年記念事業の一環として開催されている展覧会です。
会場は大きく3つのエリアに分けられていて、『マンガで学ぶことの意義を感じとれるエリア』、『マンガ作品が紡いできた人生に効く言葉を一群として展示するエリア』、『今私たちが学ぶべきテーマを個別作品から紐解く特集展示エリア(3会期で展示替え)』で構成されています。
■“楽しみながら学ぶ” 展覧会の様子を取材
1つ目のエリアでは、『学習マンガ』の歴史について触れることができるほか、2015年度から行われている『これも学習マンガだ!~世界発見プロジェクト~』で“学びにつながるマンガ”として選出された作品が数多く並べられており、実際にマンガを手にとって読むことが出来ます。
2つ目のエリアでは、『タッチ』や『鋼の錬金術師』など様々なジャンルのマンガ作品の一場面が展示されていて、キャラクターたちの生き様や心に残るセリフを見ることができます。
そして、3日から12月18日まで開催されている第1期の特集展示エリアでは、2021年9月に亡くなった劇画家のさいとう・たかをさんの『ゴルゴ13』が紹介されています。
『ゴルゴ13』は、国籍・年齢・経歴一切不明の超A級スナイパー、通称「ゴルゴ13」ことデューク・東郷が、世界各地のあらゆる組織や個人からの依頼を、卓越した能力で遂行していく姿を描いたアクション作品です。
この展示では、現実に起こった近現代の戦争や事件を題材としている『ゴルゴ13』の6つのエピソードを複製原画とともに紹介。
“国際情勢”“戦争”“紛争問題”のテーマについて触れることができるコーナーとなっています。
■マンガで学ぶことのよさは“自分事にしやすい”
豊島区といえば、マンガ界をけん引した数多くの巨匠たちが青春時代を過ごしたアパート『トキワ荘』が有名です。
手塚治虫さんや藤子不二雄Aさんらをはじめとする昭和を代表するマンガ家が、互いに切磋琢磨しながら『マンガ』という表現文化を切り拓いていきました。
本展覧会の開催のきっかけについて、企画制作を行った山内康裕さんは「トキワ荘の作家さんは0から1で新しいことを始められていた方々が中心だと思うんです。そのトキワ荘の精神を引き継いで、マンガで新しい切り口で新しい価値を生み出していく、“マンガで学ぶ”という切り口をこの地から発信していきたいという思いがありました」と語りました。
さらに“マンガで学ぶ”ことのよさについては「自分でセリフを読むことによって、よりキャラクターたちを代弁できるので、自分事にしやすいです。また小説とかとは違って全部言葉で説明するのではなくて、言葉としては少なめで、キャラクターの表情などを使って表現をしているので、表現のアウトラインが決めつけられていない。そのため解釈の仕方がたくさんあるし、みなさんそれぞれが感動して、心に残るポイントを作れるというマンガ特有の良さがあるかなと思っています」とコメント。
「“マンガで学ぶ”と言われてピンとは来ないとは思うんですが、マンガで学ぶという言葉にひっかかって来て頂けると、“ああ、こういうことなんだ”とわかる展示になっています。また“自分がこのマンガを読んでいたことって、特に勉強になるとは思っていなかったけど、人生について重要な学びがあったんだ”と気づいて発見していただきたいですし、マンガの幅広さを感じてもらいたいと思います」と明かしました。
『これも学習マンガだ!展』は、2023年3月26日まで開催される予定です。