赤塚不二夫の仕事場兼自宅が解体へ 展覧会開催 娘・りえ子「赤塚のぬくもりに触れていただきたい」
■2階の居間に約1000枚の写真を展示
1970年、中落合にあった古い木造家屋に引っ越してきたフジオプロは、1978年に鉄骨造り地上3階建ての仕事場兼赤塚さんの自宅に建て替えられました。以降、改装などを繰り返しながら40年以上が経過し、数年前から雨漏りなどの老朽化が進んでいました。
事務所スタッフのデスクが並んでいた1階は、展覧会の企画に賛同した俳優の浅野忠信さんやイラストレーターのみうらじゅんさんら著名人たちが手がけた、赤塚さんをオマージュしたアート作品などを展示。
2階は、住居スペースで赤塚さんがよく使っていたという机も。壁には1960年代から2002年までに撮影された赤塚さんの貴重な写真約1000枚が展示されています。赤塚さんの娘で、現在フジオ・プロダクションの社長を務める赤塚りえ子さんは、膨大な数の写真を見直したそうで「思い出を見ているうちに『ここ壊しちゃうんだな』って残念な気持ちもあるけど、一度決心したことなので前を見るしかないなと。みんなの笑顔と時間が写真に凝縮されていて、思い出が詰まった部屋なんだなと改めて思いました」と思い出を語りました。
■3階には赤塚さんの私物や元アシスタントの原稿も
元々、キャラクターグッズなどを保管する場所として使われていた3階には、赤塚さんの私物や漫画の原画などを展示。さらに、赤塚さんのチーフアシスタントを務めていた吉勝太さんや、『釣りバカ日誌』の作画でも知られる北見けんいちさんら赤塚さんとゆかりの深い方たちの原稿や色紙なども飾られています。
■父は「まるでバカボンのパパだった」
娘・りえ子さんに展覧会を行う旧社屋での思い出を聞くと「(父は)毎晩まるで、バカ田大学の先輩後輩みたいにいろんな人が来て一緒に飲もうと、いつも楽しくしていましたね。晩年になると自分もバカボンのパパのコスプレとかをしていたので、自由な感じになっていって。漫画と私生活に境界線がなくなるような生活をしていました。自分の作品と自分が一緒になっていったような」と回想。
■「赤塚のぬくもりに触れていただきたい」
また、展覧会について「みんなで飲んで笑って、父が仕事を一生懸命やって寝てと、すべてが詰まった空間。建物内のそれぞれが思い出深い空間なので、一か所を見せるというより、この建物自体が展覧会の作品の一つになるような展示にしたいと思いました。赤塚の家に来ていただいて、赤塚のぬくもりとかに触れていただきたい。“自由な感覚”というのが“赤塚スピリット”だと思うので、そういうのを皆さんに感じて楽しんでいただきたい」と語りました。
「フジオプロ旧社屋をこわすのだ!!展『ねぇ、何しに来たの?』」は10月30日までの木~日(祝日含む)で開催され、入場は予約制となっています。