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人気絵本『ねないこ だれだ』作者・せなけいこさん死去 37歳でデビュー おばけの絵本のために民俗学を学ぶ

2024年10月28日 12:35
人気絵本『ねないこ だれだ』作者・せなけいこさん死去 37歳でデビュー おばけの絵本のために民俗学を学ぶ
せなけいこさん (撮影:岩崎美里)
ねないこ だれだ』などで知られる絵本作家・せなけいこさんが、23日に老衰のため92歳で亡くなったことがわかりました。おばけや妖怪などをモチーフに、貼り絵の手法を用いたシンプルながらも独創的な作風で、世代を越え、多くの親子に読み継がれるロングセラー作品を多く生み出したせなさん。絵本作りのこだわりや、作品作りのヒントとなった出来事を過去のインタビューなどから振り返ります。

せなさんは、19歳の時に童画家・武井武雄さんに師事して絵を学び、37歳となった1969年に『いやだいやだの絵本』(4冊セット)で絵本作家としてデビューしました。中でも、『ねないこ だれだ』は、独自の世界観とストーリーで子どもたちをひきつけ、累計発行部数351万5000部(出版社発表)を記録しました。

長年読み継がれる絵本を生み出したせなさんが、絵本作りにおいて一番こだわっていたのは“独創性”だそうで、KUMONのうた・読み聞かせ記録アプリ『ミーテ』に掲載されたインタビューでは、「武井先生からは私の絵について、構図が悪いとか、デッサンがよくないとか、いろいろと厳しいことも言われましたが、たくさんのことを学ばせてもらいました。特に覚えているのは、『サインなしでもその人だとわかる絵を描きなさい』ということ。どこかで見たことのあるような絵ではだめなんです」と師匠である武井さんから学び、絵本作りで意識していることを明かしていました。

さらに、せなさんは「新しい作家さんの絵本を見ると、どうもきれいにまとまってしまっていて、いまいち個性が足らないように思うんですけどね。絵本は一度描くと、出版社さんががんばって売ってくださるので、30年経っても書店に並んだりしますから、それを考えると、一作一作手を抜かずにつくっていかなければと感じています」と、作品一つ一つに込める思いを語っていました。

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■おばけの絵本のため「民俗学の勉強をしました」
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