中村芝翫 今年3回目の初役に挑戦
歌舞伎俳優の中村芝翫さん(56)が、歌舞伎座で上演される『十月大歌舞伎』(10月2日初日)第三部「六歌仙容彩 喜撰(ろっかせんすがたのいろどり きせん)」で、初役に臨む心境を語りました。
1831年に初演された『六歌仙容彩』。6人の歌人が登場し色恋を描く舞踊です。初演時に5人の歌人を踊り分けたのは、二世中村芝翫さんです。今回の芝翫さんは出演するにあたり公演前、江東区内にある二世中村芝翫宅跡を訪れるほど、思い入れのある演目。芝翫さんは「子供の頃から演じたいと思っていたお役。今とても高揚した気持ちでおります」と語りました。
今回は「六歌仙」を題材にした歌舞伎舞踊の内、清元と長唄の掛け合いによる華やかな「喜撰」が上演されます。
初めて喜撰法師を勤める芝翫さん。今年7月の『身替座禅』で玉の井。さらに9月『お江戸みやげ』でお辻。と今年3つの演目で初役を勤めています。
芝翫さんは「初役だけが難しいわけではありません。二度、三度と演じているうち、初役の時は上手に出来なかったことが出来るようになる、一方その逆の事態に陥ることも…。何度も勤めるなかで、出口の見えないトンネルに入り込むことがある」と複雑な心境を語りました。